重量物取り扱い作業の指針を解説!要点と建設現場の活用事例を紹介

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現場監督

現場で痛そうに腰をおさえてたり、さすったりしてる人がいるんだ。悪化しないように配慮してあげたいけど、安全管理として何か対策できないかな。

こんなお悩みに答えます。

建設現場で働く職人さんは体が資本。

現場監督としては、自分の現場で腰を痛める人が出ないよう配慮してあげたいですよね。

職場における腰痛予防対策については、厚生労働省の「重量物取り扱い作業における腰痛の予防について」という指針が定められています。

厚生労働省が調査した結果によれば、負傷に起因する疾病が建設業は333件のうち206件61.8%が腰痛によるものだという結果が出ています。

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厚生労働省 – 業務上疾病発生状況等調査(令和3年)

現場監督

建設業の負傷は6割以上が腰痛なんだね。

ランメイシ

だからこそ、現場で腰痛の予防に取り組むことは大事だね!

本記事では、建設業にとって優先的に取り組むべき腰痛の予防方法と、優良な腰痛予防の取り組み事例について解説します。

この記事を書いた人
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当サイト『ゲンプラ』の運営者:ランメイシ

現場監督と家庭(プライベート)の両立を応援するために、土木工事の施工管理をやっている現役の現場監督(歴16年)が当サイトを運営。施工管理業務の悩みに全力でサポートします!ご安全に!

保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士

主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事

プロフィール詳細/現場の事故がきっかけで最悪な状況になった時の体験談

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目次

腰痛予防対策指針のポイント

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腰痛予防対策指針のポイント

職場での腰痛を予防するための対策として、厚生労働省から平成6年9月6日付け基発第547号 「職場における腰痛予防対策の推進について」により「職場における腰痛予防対策指針」が定められました。

指針のポイント、腰痛の発生が比較的多い作業についての対策をまとめたリーフレットが公開されているので、こちらを参考にするとわかりやすいです。

厚生労働省 – 腰痛予防対策関連ページ

腰痛になる主な原因

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腰痛になる主な原因

腰痛発生の原因は、以下の3つに分けられます。

  1. 腰部に動的あるいは静的に過度に負担を加える動作要因
  2. 腰部への振動、寒冷、床、階段での転倒等に見られる環境要因
  3. 年齢・性・体格・筋力等の違い、椎間板ヘルニア、骨粗しょう症等 の既往症又は基礎疾患の有無及び精神的な緊張度等の個人的要因


腰痛はこれらの要因が重なりあって発生すると言われています。

腰痛を予防するためには、作業管理・作業環境管理・健康管理及び労働衛生教育を適切に行うことによって、腰痛の発生の要因の排除又は軽減に努めるとともに、作業者の健康の保持増進対策を進めることが必要です。

事業場においては、本指針に掲げられた腰痛の基本的な予防対策を踏まえ、事業場の実態に即した対策を講じる必要があります。

本指針では、腰痛の発生を減少させるため、腰痛の発生が比較的多い次の5 つの作業についての作業態様別の基本的な対策を示しました。

  1. 重量物取扱い作業
  2. 重症心身障害児施設等における介護作業
  3. 腰部に過度の負担のかかる立ち作業座作業
  4. 腰部に過度の負担のかかる腰掛け作業
  5. 長時間の車両運転等の作業


作業管理

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腰痛防止のための作業管理

腰痛防止のための作業管理のポイントは、以下の通りです。

  1. 作業の自動化・省力化
  2. 作業姿勢・動作の改善
  3. 作業標準を決める
  4. 充実した休憩設備
  5. その他
ランメイシ

具体的な内容をそれぞれ解説していくね。

① 作業の自動化・省力化

作業の全部又は一部を自動化又は機械化し、作業者の負担を軽減することが望ましいこと。

困難な場合は、 適切な補助機器等を導入すること。

ランメイシ

建設業でも、国土交通省がパワーアシストスーツ(PAS)の導入に向けて動いているよ。

国土交通省より、建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関する記事があり、現場検証の事例集も公開されています。

        国土交通省 – パワーアシストスーツ現場検証事例集
着る、筋肉。マッスルスーツEvery(エブリィ)

② 作業姿勢・動作の改善

作業管理の2つ目は、作業姿勢・動作の改善です。

  • 腰部に負担のかかる中腰、ひねり、前屈、後屈ねん転等の不自然な姿勢をなるべくとらないようにする
  • 立位、椅座位等において、同一姿勢を長時間とらないようにする
  • 腰部に負担のかかる動作を行うにあたっては、姿勢を整え、かつ急激な動作を避ける
  • 持ち上げる、引く、押す等の動作は膝を軽く曲げ、呼吸を整え、下腹部に力を入れながら行う
  • 頸部又は腰部の不意なひねりを可能なかぎり避け、動作時には、視線も動作にあわせて移動させる


③ 作業標準を決める

作業管理の3つ目は、作業標準を決めることです。

腰痛を予防するための作業標準を決めるに当たって留意することは以下の通りです。

  • 作業時間・作業量・作業方法・使用機器等を示す
  • 不自然な姿勢を要する作業、反復作業等を行う場合には、他の作業と組み合わせる等により、不自然な作業等ができるだけ連続しないようにする
  • 作業速度が機械的に設定されている作業の場合は、作業者の身体的な特性と体力差を考慮して、適正な作業速度にする
  • 夜間工事のような不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業量を下回るよう配慮する

④ 充実した休憩設備

横になって安静を保てるよう、十分な広さを有する休憩設備を設けるよう努めること。

休憩設備の室内温度を、 筋緊張が緩和できるよう調節することが望ましいこと。

ランメイシ

作業員にとって昼の休憩時間は、ご飯だけじゃなく、昼寝して体力を回復するための貴重な時間。エアコンがあって、畳で寝転がれるような休憩所は用意してあげないとね。

⑤ その他

腰部に著しい負担のかかる作業を行わせる場合は、腰部保護ベルト、腹帯等適切な補装具の使用も考慮すること。

作業時の靴は、足に適合したものを使用させること。

作業環境管理

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作業環境管理

腰痛防止のための作業環境管理のポイントは、以下の通りです。

  1. 温度
  2. 照明
  3. 作業床面
  4. 作業空間
  5. 設備の配置等

① 温度

作業場内の温度を適切に保つこと。

低温環境下において作業させる場合は、保温のための衣服を着用させるとともに、適宜、暖がとれるよう暖房設備を設けることが望ましいこと。

② 照明

作業場所・通路・階段、・機械類等の形状が明瞭にわかるような適切な照度を保つこと。

③ 作業床面

できるだけ凹凸がなく、防滑性、弾力性、耐衝撃性及び耐へこみ性に優れたものとすることが望ましいこと。

④ 作業空間

動作に支障がないよう十分な広さを有する作業空間を確保すること。

⑤ 設備の配置等

作業を行う設備、作業台等については、作業に伴う動作、作業姿勢等を考慮して、形状、 寸法、 配置等に人間工学的な配慮をすること。

健康管理

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健康管理

腰痛防止のための健康管理のポイントは、以下の通りです。

  1. 健康診断
  2. 作業前体操 腰痛予防体操

① 健康診断

重量物取扱作業等腰部に著しい負担がかかる作業に常時従事する作業者に対しては、当該作業に配置する際、その後6か月以内ごとに1回、定期に次のとおりの医師による腰痛の健康診断を実施すること。

  • 既往症(腰痛に関する病歴及びその経過) 及び業務歴の調査
  • 自覚症状(腰痛・下肢痛・下肢筋力減退・知覚障害等) の有無の検査
  • 脊椎の検査神経学的検査
  • 脊柱機能検査
  • 腰椎X線検査
ランメイシ

腰痛の健康診断の目的は、配置前の健康診断配置前の作業者の健康状態を把握することで、その後の健康管理の基礎資料になるからだよ。

(b) 定期健康診断: 定期に行う腰痛の健康診断項目 ・既往症及び業務歴の調査自覚症状の有無の検査

(a)の健康診断の結果、 医師が必要と認める者については、次の検査を追加することが望ましいこと。

・脊柱の検査・神経学的検査・腰椎のX線検査 運動機能テスト


(c) 事後措置:腰痛の健康診断の結果、労働者の健康を保持するため、作業方法等の改善、作業時間の短縮等必要な措置を講じること。

② 作業前体操 腰痛予防体操

始業時に準備体操として行うこと。

(b)就業中に新たに腰部に過度の負担がかかる作業を行う場合は、作業開 始前に下肢関節の屈伸等を中心に行うこと。
なお、作業終了時においても、必要に応じ、緊張した筋肉をほぐし、血行を
良くするための整理体操として行うこと。
(c) 腰痛予防体操には、以下3つの種類があり、実施にあたっては、その目的にあったものを選択すること

  • 関節可動体操
  • 軟部組織伸展体操、
  • 筋再建体操

労働衛生教育等

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労働衛生教育等

重量物取扱い作業など、腰部に大きく負担のかかる作業を長時間行う作業者については、作業に配置するとき及び必要に応じて、腰痛予防のための労働衛生教育を実施することとされています。

労働衛生教育の項目は、以下の通りです。

  1. 腰痛に関する知識
  2. 作業環境、作業方法等の改善
  3. 補装具の使用方法
  4. 作業前体操、腰痛予防体操
  5. その他、職場内における対策を進めるのみならず、作業者の日常生活における健康の保持増進を、 産業医の指導のもとに指導

重量物取扱い作業

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重量物取扱い作業

重量制限のみを守るのでなく、取扱い回数等作業密度を考慮し、適切な作業時間、人員の配置等に留意しつつ、 以下の対策を講じることが大切です。

  1. 自動化、省力化
  2. 重量物の取扱い重量
  3. 荷姿の改善、 重量の明示等
  4. 作業姿勢、動作
  5. 取扱い時間

自動化、省力化


(a) 適切な自動装置、 台車の使用等により人力の負担を軽減することを原 則とすること。 (b) 人力による重量物取扱作業が残る場合は、作業速度、取扱い物の重量
の調整をすること。

重量物の取扱い重量


満18歳以上の男性作業者が人力のみにより取り扱う重量は、55kg以下にすること。

男性作業者が、常時、人力のみにより取り扱う場合の重量は、その作業者の体重のおおむね40%以下となるように努めること。


前記の重量を超える重量物を取り扱わせる場合は、2人以上で行わせること。

荷姿の改善、 重量の明示等


荷物はかさばらないようにし、かつ適切な材料で包装し、できるだけ確実に把握することのできる手段を講じて、取扱いを容易にすること。

できるだけ取り扱う物の重量を明示すること。

著しく重心の偏っている荷物については、その旨を明示すること。

手かぎ、吸盤等の補助具の活用を図り、持ちやすくすること。

作業姿勢、動作


重量物を取り扱うときは急激な身体の移動をなくし、かつ身体の重心の移動を少なくすることを原則とすること。

できるだけ身体を対象物に近づけ、重心を低くするような姿勢を取ること。

はい付け又ははいくずし作業はできるだけ、はいを肩より上で取り扱わないこと。

床面等から荷物を持ち上げる場合には、片足を少し前に出し、 膝を曲 上げ、腰を十分に降ろしてその荷物を抱え、膝を伸ばすことによって立ち上がるようにすること。

腰をかがめて行う作業を排除するため、適切な高さの作業台等を利用すること。

荷物を持ち上げるときは呼吸を整え、腹圧を加えて行うこと。

荷物を持った場合には、背を伸ばした状態で腰部のひねりが少なくなるようにすること。

取扱い時間

取り扱う物の重量、取り扱う頻度、運搬距離、運搬速度等作業の実態 に応じ、小休止・休息をとる。

他の軽作業と組み合わせる等により、重 量物取扱い時間を軽減すること。

単位時間内における取扱い量を、過度の負担とならないよう適切に定めること。

腰痛予防の事例

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腰痛予防の事例

厚生労働省などで公表されている、腰痛予防のための事例を紹介します。

厚生労働省「腰痛」を予防するための「見える化」

厚生労働省の安全プロジェクトより、平成27年度「見える」安全コンクールで、優良事例として取り上げられた事例を紹介します。

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まとめ

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まとめ

本記事では、建設業にとって優先的に取り組むべき腰痛の予防方法と、優良な腰痛予防の取り組み事例について解説しました。

職場での腰痛を予防するための対策として、厚生労働省から平成6年9月6日付け基発第547号 「職場における腰痛予防対策の推進について」により「職場における腰痛予防対策指針」が定められました。

指針のポイント、腰痛の発生が比較的多い作業についての対策をまとめたリーフレットが公開されているので、こちらを参考にするとわかりやすいです。

腰痛発生の原因は、以下の3つに分けられます。

  1. 腰部に動的あるいは静的に過度に負担を加える動作要因
  2. 腰部への振動、寒冷、床、階段での転倒等に見られる環境要因
  3. 年齢・性・体格・筋力等の違い、椎間板ヘルニア、骨粗しょう症等 の既往症又は基礎疾患の有無及び精神的な緊張度等の個人的要因


腰痛はこれらの要因が重なりあって発生すると言われています。

腰痛を予防するためには、作業管理・作業環境管理・健康管理及び労働衛生教育を適切に行うことによって、腰痛の発生の要因の排除又は軽減に努めるとともに、作業者の健康の保持増進対策を進めることが必要です。

腰痛防止のための作業管理のポイントは、以下の通りです。

  1. 作業の自動化・省力化
  2. 作業姿勢・動作の改善
  3. 作業標準を決める
  4. 充実した休憩設備
  5. その他

腰痛防止のための健康管理のポイントは、以下の通りです。

  1. 健康診断
  2. 作業前体操 腰痛予防体操

重量物取扱い作業など、腰部に大きく負担のかかる作業を長時間行う作業者については、作業に配置するとき及び必要に応じて、腰痛予防のための労働衛生教育を実施することとされています。

労働衛生教育の項目は、以下の通りです。

  1. 腰痛に関する知識
  2. 作業環境、作業方法等の改善
  3. 補装具の使用方法
  4. 作業前体操、腰痛予防体操
  5. その他、職場内における対策を進めるのみならず、作業者の日常生活における健康の保持増進を、 産業医の指導のもとに指導

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