
土木の公共工事なんだけど、創意工夫の内容で悩んでるんだ。
工事成績評定点で発注者の良いアピールになる事例ってある?

創意工夫は考えるのも時間がかかるし、何個も考えるのって大変ですよね。
悩みに悩んだ結果、せっかく取り組んで書類もまとめたのに評価されなかったら、費やしたお金と時間は何だったんだって思いますよね。創意工夫のアイデアとして参考になるものがあれば…。
そこで本記事では、インターネット上で公表されている創意工夫事例をまとめました。
創意工夫として行った内容は発注者から契約変更の対象にならないので、予算とにらめっこして「やる・やらない」を決めることが多いですが、記事で紹介する創意工夫事例の中には、あまりお金をかけずにできる事例もあります。

現場でできそうな「創意工夫」があったら、積極的に取り入れて発注者にアピールしましょう。
国土交通省「監督・検査・工事成績評定・土木工事共通仕様書関係」の「(4)工事成績評定 別添1(地方整備局工事成績評定実施要領)」に、国土交通省の土木工事における検査書類のチェックリストがPDFで公開されています。
国交省の検査書類チェックリストのうち、創意工夫のチェック項目は以下の通りです。

公共の土木工事では工事点数が高いほど次の受注に有利になるので、工事点数が高ければ会社からも喜ばれます。つまり、高い工事点数=キャリアアップ・年収アップにつながるので、ぜひ最後までご覧ください。
工事点数アップを考えて創意工夫の事例を参考にすることは大切ですが、あなた自身が安全に働ける環境も大切です。筆者は過去に現場代理人をしていた現場で忙しくて休めず、身体を壊してしまった経験があります。
今は大丈夫でも、今後大変な工事を任されて残業・休日出勤が続き、休めず現場監督の仕事が嫌になることがあるかもしれません。無理はしないように気をつけてくださいね!
「見える」安全活動コンクール
出典は厚生労働省「SAFEコンソーシアム」より、「見える」安全コンクールの結果が掲載されています。
現場での安全管理における創意工夫の参考になる事例が、写真付きでまとめられているので参考になります。
令和3年度:創意工夫事例
新型コロナウイルス感染症の流行を受け、職場における安全対策と感染症対策を両立する取組が多く評価される傾向にあった。
また、VRやウェアラブル端末といった新しい技術を用いた取組がある一方で、ナッジ(行動科学の知見に基づく工夫や仕組みによって、人々がより望ましい行動を自発的に選択する手助けをする手法のこと)を活用した「見える化」事例の類型を中心に、創意工夫によりコストを掛けずに安全衛生を推進する取組も多く見られた。
- 転倒災害及び腰痛を防ぐための「見える化」(16事例)
- 高年齢労働者の特性等に配慮した労働災害防止の「見える化」(5事例)
- ナッジを活用した「見える化」(16事例)
- 外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」(1事例)
- 熱中症を予防するための「見える化(5事例)
- メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」(2事例)
- 化学物質による危険有害性の「見える化」」(4事例)
- 通勤、仕事中の健康づくりや運動の「見える化」(7事例)
令和2年度:創意工夫事例
従来の「見える化」の取組に加え、VRやウェアラブル端末といった新しい技術を用いた取組が以前よりも多く見られるようになった。
また、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、職場における安全対策と感染症対策を両立する取組もみられた。
- 転倒災害及び腰痛を防ぐための「見える化」(16事例)
- 高年齢労働者の特性等に配慮した労働災害防止の「見える化」(4事例)
- 外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」(3事例)
- 熱中症を予防するための「見える化」(14事例)
- メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」(4事例)
- 化学物質による危険有害性の「見える化」(4事例)
- 通勤、仕事中の健康づくりや運動の「見える化」(4事例)
令和元年度:創意工夫事例
人感センサーで状況に合わせた注意喚起を行うような、行為に対応する「見える化」事例や、事業場内の危険箇所について分析したデータを活用した事例、その他、事業場の安全衛生水準の向上に寄与した労働者の表彰等、労働者が意欲的に安全活動に取り組めるような工夫等がみられ、非常に有意義であった。
- 転倒災害及び腰痛を防ぐための「見える化」(11事例)
- 高年齢労働者の特性等に配慮した労働災害防止の「見える化」(4事例)
- 外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」(2事例)
- 熱中症を予防するための「見える化」(11事例)
- メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」(2事例)
- 化学物質による危険有害性の「見える化」(2事例)
- 通勤、仕事中の健康づくりや運動の「見える化」(4事例)
- その他の危険有害性情報の「見える化」(31事例)
平成30年度:創意工夫事例
過年度のような最新の技術を用いた先進的事例と比べ、汎用資材の活用や蛍光マーカーで視認性を高める工夫など、身近な資材、道具を用いた他の企業等でも取り組み易い事例がみられ、非常に有意義であった。
バランスボールによる健康確保や行政等の提供するデータを活用した外国語版の安全標識を作成した事例などこれまでのコンクールではみられなかった事例が応募されたことも有意義であった。
- 転倒災害を防止するための「見える化」(15事例)
- 腰痛を予防するための「見える化」(4事例)
- 外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」(3事例)
- 熱中症を予防するための「見える化」(6事例)
- メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」(2事例)
- 化学物質による危険の「見える化」(3事例)
- 通勤、仕事中の健康づくりや運動の「見える化」(6事例)
- その他の危険有害性情報の「見える化」(24事例)
平成29年度:創意工夫事例
企業等の新しいアイディアによる活動や創意工夫を凝らした事例が多数収集できた。
特に、簡単な工夫でコストをかけずに転倒防止や腰痛予防を図る事例、経験の浅い労働者や外国人労働者に配慮した事例など、他の企業等でも簡単に取り組める事例を収集できたことは、非常に有意義であった。
また、ドローンや3D画像を活用した事例などこれまでのコンクールでは収集できなかった事例を収集できたことも有意義であった。
- 転倒災害を防止するための「見える化」(15事例)
- 腰痛を予防するための「見える化」(4事例)
- 外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」(3事例)
- 熱中症を予防するための「見える化」(6事例)
- メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」(1事例)
- 化学物質による危険の「見える化」(2事例)
- その他の危険有害性情報の「見える化」(33事例)
東京港建設事務所
機材のリース費が不要!無料で使える車両運行管理アプリ「AI-Contact(アイコンタクト)フリート」で交通安全対策の創意工夫

工事でGPSを使った工事用車両の運行管理は「創意工夫」でアピールする良いシステムですが、リース代が高額だったんですよね…。
このアプリなら完全無料で工事用車両の運行管理ができます。


マニュアルによればサポートがつかないため無料で利用可能とのこと。

無料なので、お試し感覚で使えます!
- 公式ホームぺージの「資料請求」をクリックして、登録情報を入力。「AI-Contact フリート(無料)」を選択して「送信」ボタンをクリック。
- 登録したメールアドレス宛にメールが届くので、「AI-Contactフリート申込みフォーム」をクリックして登録情報を入力。

便利なアプリは積極的に使って、工事点数アップにつなげましょう!
注意点:創意工夫を大量に取り組んで発注者にアピールしても、工事成績評定点への影響は少なくなってきている
筆者が国交省発注工事の完成検査時、検査官に言われたことですが、
「創意工夫で点数貰っても、嬉しくないでしょ?」

心の中で「どんな形であれ点数アップにつながるなら嬉しいです」って正直に言いたかったですが、検査官の意図としては以下のような感じでした。
- 全く同じ場所で、全く同じ工事というものは存在しないから、その工事の特徴や問題点を洗い出したうえで、何に注力して取組むべきか
- ①工期が厳しい工事だったから、工程管理にこんな工夫をして管理した
- ②現道沿いでの工事のため、安全管理・第三者への配慮などに細心の注意を払った
創意工夫で評価されるより、工程管理とか、品質管理、安全管理、出来形管理のいずれかで評価された方が良いでしょう、という話でした。
もちろん検査官によって考え方も違うので、発注側の検査官全員が同じ考えを持っているとは限りません。
ただし、より良い評価をもらうには工事の最後に提出する創意工夫や地域貢献よりも、普段から発注者の要求+αを行ってきたかが大事になります。

発注者に「日頃からしっかり現場を管理できてるね!」と評価をもらうためにも、施工管理の要点をおさえておくことが大事です。

快適職場や現場環境改善についても以下の記事で紹介しています。

作業員の安全を考えて資料を用意して教育を行うのは大切ですが、あなた自身が安全に働ける環境も大切です。筆者は過去に現場代理人をしていた現場で忙しくて休めず、身体を壊してしまいました。復帰しても休めないのは変わらなくて転職を考えたのに、どうやって転職先を探せばいいのかわからず困った経験があります。
今は転職するつもりが無くても、今後大変な工事を任されて残業・休日出勤が続き、休めず現場監督が嫌になることがあるかもしれません。今はどんな求人が出ているのか情報取集しておくだけで、転職という選択肢を持てて安心できます。

以下の記事で現場監督向けの転職活動を図解付きで解説しているので、ぜひご覧ください。
コメント
コメント一覧 (2件)
現状はしっかりと法令を遵守し、丁寧に現場を完成させると、ある程度の良い点はつきます。
地域貢献はほとんど+αの事にはなると思いますが、創意工夫は昨今、点数のために大きなコストをかける事は本末転倒だと考える発注者が多くなってきています。検査官が言われているのは、完成までの過程以外の部分で評価されるより、現場を完成させる過程での担当技術者の能力(現場の管理や創意工夫など含む)を評価してもらえた方が良いでしょう?と言う意味だと思います。
点数の大半を占めるのは工事が完成するまでの『過程』と完成した構造物の『出来形・品質』です。
社会性や地域貢献などの第三者的な評価部分については、現場毎にやれる事に限りもありますし、点数の割合も少ないです。
例えですが、田舎の中小企業が実施できる創意工夫は大手企業と比べてコスト面でも規模でも比較になるようなレベルではありませんが、それじゃ高得点は取れないのか?と言われれば、全然そのような事はなく、中小企業でもできる範囲で精一杯努力すれば高得点は狙えます。
田舎の中小企業ほど現場以外にコストが掛けられないので、現場を完成させる中で創意工夫を凝らし、点数を得ようとする企業がほとんどだと思います。
私も転職をして、中小企業に入社しましたが、本サイトに掲載して頂いている工夫の数々の中でグレードダウンして取り組めそうな物を参考にさせていただきたいと思っております。
サイトを見た所、大手に勤めていらっしゃると思われますので、点数のために苦労は絶えないと思いますが、ご健闘をお祈りしております。
吉村和志さま
コメントありがとうございます。公共工事は書類を少なく、真に必要なものだけ作成・提出するというのが近年強く、コストと手間をかけてまでこだわった管理をしても評価しないとしています。受注者としては点数のために「どこで差別化を図るか」が難しくなってきました。(ただし発注担当者によっては他社より努力した分、評価されていると感覚でわかる場合もあります)
意見の通り、コストをかければ誰にもできないような創意工夫は可能です。出来形・品質だけでなく、工事完成までの「過程」が大事なこともですね。
僕の個人的な意見としては、淡々と発注者担当者に書類を提出しながら工事を進めるよりも、やっぱり発注者も人間なので、誠意のある対応をして「また次の工事も受注してね」と言ってもらえるような次に繋がる対応が大事と現場では感じています。
ただし創意工夫も取り組んだ数が少ないと、発注者に「これだけ?」とか「工事施工への意欲が足りない」と感じられてしまいますので、参考になる創意工夫の事例を適宜更新していきます。よろしくお願いいたします!