現場監督なんだけど、発注者・下請業者・近隣住民と、いろんな人と関わるのに関係が上手くいかなくて困ってる…。
こんな悩みに答えます。
協力会社の職人の他、発注者や地元住民とうまくコミュニケーションをとるのも、現場監督とって大事であることは、あなたも承知のはず。
自分のミスが原因で相手に迷惑をかけてしまった場合は、素直に謝った方が良い。
でも、現場では理不尽なことばかりですよね。
僕がミスしたわけじゃないのに、「聞いてなかった」とか言って責任を現場監督の僕に押し付けられたことがあるよ。
工事で関わる人は、みんな大人とはいえ、性格は人それぞれ。ちょっとした認識違いが、とんでもない事態に発展することも…。
協力会社・役所・近隣住民。相手が人である以上、相性が悪い人、苦手な人は必ずいます。
中には「何となくあなたが嫌い」という不合理な考えをもった人も。
僕も人間関係が嫌になって、現場監督を辞めようと思ったことはあります。
仕事をしに来ているのに、人間関係で仕事がうまくいかない、生産性の上がらない場所に居ても、スキルも上がらないし効率が悪いから辞めようと考えていました。
『人間の悩みの80%は、人間関係だ』
上記の言葉は、カナダ出身の精神科医、「エリック・バーン」博士が語ったものです。
言い換えれば、『人間関係の悩みが無くなれば、人生の80%はうまくいく』ことになります。
誰もが人間関係に悩み、ときに苦しみ、メンタルを病んでしまうなど、病気にかかる人さえいます。
その一方で、人間関係を円滑にし、充実した現場監督生活を送る人もいます。
どうすれば人間関係がうまくいくか、疑問を持つあなたへ。
本記事では、人間関係を円滑にするためのポイントを解説します。
- 現場監督が『良好な人間関係』を築くためのポイント
- メールよりも『直接会う』が大切な理由
- 相手と会話をするうえで気を付けたいこと
他に現場監督が業務をやるうえで大切なスキルについては、以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてくださいね。
現場監督が人間関係を円滑にする方法
悪気は無かったのに、相手を怒らせてしまったり、不機嫌にさせてしまった。
という経験、ありませんか?
あるいは、上司や後輩との会話がかみ合わないといったケース。
すぐに取り組める改善方法として、話し方や言葉づかいを変える方法があります。
話し方と言葉づかいって、そんなに大事なことなの?
今のあなたの話し方は、周りにいる人の影響を受けた結果です。
なので、無意識に自分では人を不快にさせる話し方ではないと思っていても、相手にとっては不快にさせる話し方や言葉かもしれないのです。
日本人は欧米人よりコミュニケーション、つまり話し方の下手な民族と言われてきました。
反論としては、
「日本には以心伝心といって、話さなくとも、行間を読み取る能力がある」
と言われます。
しかし、欧米文化が生活に浸透した現代、その言葉は過去のものとなっています。
この現実を踏まえると、今の日本では好む・好まないにかかわらず、話し方・言葉づかい・コミュニケーションの「見える化」が必須になっています。
- いかに話すか?
- いかに伝えるか?
これが人間関係を作っていくための、大きな要素となってきています。
人間関係を円滑にするためのポイントは、『マナー』と『面と向かって会話する』
- マナー『エチケット+相手への気づかいと思いやり』をもつ
- 『メール」よりも、5分でも時間があれば『会いに行く』
マナー『エチケット + 相手への気づかいと思いやり』をもつ
現場監督として多くの工事関係者と接するなかで、
「あの人はマナーがない」あるいは「あの人はマナーがある」
と感じたことはありませんか?
ベストセラー本「エチケット」を出版した女性作家の「エミリー・ポスト」さんは、『マナー』と『エチケット』の違いを書籍にて説明しています。
『マナー』と『エチケット』、意味は同じと思うかもしれませんが、実は異なります。
書籍の内容を分かりやすく言い換えると、以下の通りです。
- 『マナー』は「相手を気づかう心」
- 『エチケット』は「型」
例を以下に書きます。
- 『上司を見かけたけれど、連れの人と話し込んでいる様子だったので会釈だけをする』のが『マナー』
- 『人に会ったら挨拶する』のが『エチケット』
大切なのは、相手が「求めている情報」を提供することで、情報を提供することも「行動」。相手にとって「プラスになる行動」ができれば、行動した分だけ「信頼」が増して、良い人間関係を築くことができます。
『メール」よりも、5分でも時間があれば『会いに行く』
メールもパソコンではなく、スマホで簡単にできるし、手軽なツールです。
でも、メールにはデメリットがあってビジネスにおいては、可能な限り『メール』で済ますよりも直接『会いに行く』方が良いです。
- 細かい『感情』が伝わりにくく、誤解を生む可能性がある
- 自分ごとのように、『相手を大切にする心』が生まれない
コロナウイルスの影響もあるので、多人数が集まるのは避けた方が、このご時世では望まれるのも事実。
でも1対1での「打ち合わせ」や「話し合い」の場では、直接会って話した方がコミュニケーションミスの防止になります。
メールの文章だと、「この人、怒っているのかな?」とか、相手がどんな感情なのかわからないですよね。
謝る時や自分に不都合な時ほど、メールで済ましたいと思いますよね。
でも文章だけの連絡は「心の距離」が縮まることはなく、円滑な人間関係どころか、下手すれば不信感が残るだけです。
メールはその人と「会うためのきっかけづくりのツール」と考えておいた方が良いですね。
大事な内容をメールで送るなら、最低でもメールを送った後に電話して、
「先ほど~の件でメールさせて頂きましたので、ご確認のほどよろしくお願いします。」
と電話連絡もした方が、相手も丁寧な人だなって評価してくれますよ。
『話し方』や『言葉づかい』が現場監督にとって重要な理由
現場監督は協力会社の職人の他、発注者や地元住民など営業マン並みに人と接する機会が多い職業です。
名刺を100枚作ったのに、工事が終わる頃には数枚しか残っていない、なんてこともあるくらいです。
現場監督は人と人とのコミュニケーション無くして仕事は成り立ちません。
「ホウ・レン・ソウ」が欠かせない社内の上下関係や、立場が違う人がチームとなって1つの現場を造りあげるからです。
日常的な挨拶や返事の仕方はもちろん、お願いしたり、意見を言ったり、注意したり、叱ったり、誤ったり、褒めたり…。
あらゆる場面で言いたいことを伝えつつ、相手に信頼感や安心感を与えて、好意的に受け取ってくれるような言い方を1つでも多く身に付ける必要があります。
ここで、話し方とか言葉づかいより、現場監督として主に施工管理のスキルに集中して磨いた方が良いんじゃないかと、疑問に思うかもしれません。
しかし、施工管理の知識量は膨大です。
その施工管理の知識の習得は、自分で調べるより教えてもらった方が早いです。
参考文献が多すぎて、調べようにも何の本を調べればよいのか調べる…。
スポーツでいう、試合のための練習ではなく、「練習のための練習」状態です。
そして、教える側も人間です。
自分が気に入らない相手にちゃんと教えてあげようなんて人はそういないでしょう。
逆に、自分が気に入っている相手なら、あなた自身も誰かに教えてあげる時は積極的に教えてあげたいと思いませんか?
具体的な『言葉づかい』や『マナー』
ここからは、社会人としての敬語やマナーについてです。
基本的なものでしかありませんが、間違えて覚えていたりするケースもあります。
敬語やマナーはなぜ必要か
社会人になると、社内外を問わず「敬語」で話すことが当たり前になります。
敬語をきちんと話せない人は、学生気分のままの人。社会人としてスタートに立てていない人。
仕事を教える前に敬語を覚えてもらわないといけない、手のかかる人。常識のない人、失礼な人…。
よほど物事をキッパリ言う人か、あまりに失礼すぎてキレながら注意される以外、直接指摘を受けることはありません。
何故かというと、パワハラだと思われないよう警戒しているからです。今の世の中、少しでも言い間違い、失言をしたらすぐ問題になってしまいます。
上司も直接伝えた方が良いのはわかっているのに、年代の差もあってうまく伝わらない。建設業は体育会系が多いし、僕が若い頃はパワハラという言葉は無かったのもあってか、ほぼ毎日怒鳴られてました。
「なんでこんなムカつく上司の言うこと聞かないといけないんだ…」
と、いつも思っていましたし、そんな上司に敬語で話すのも嫌だったのでタメ口で話していました。
いやむしろ、挨拶もしたくないし、顔も合わせたくない。
当時、現場では下っ端でしたが、本気で上司のことが嫌でコミュニケーションは一切拒否していました。
僕は社内では年の近い社員がいないため、友人にいつも「会社のムカつく上司がさ~」と話してばかり。
今なら、社内では言わなくとも、友人かSNSで上司の悪口を言ったことがある人はいるのではないでしょうか?
結果、仕事もろくに覚えられずただただ自宅と現場を繰り返す毎日…。
今では無駄な時間を過ごしてしまったと後悔しています。
いつも上司が悪いとばかり考えていました。
でも、こんな最悪な状況を変えるには、自分自身が変わるしか方法はありません。
なぜなら、自分はコントロールできても、他人はコントロールできないからです。
上司が嫌いだったからといって、急に性格が変わったり、考えを改めたりするわけもありません。
だったら、自分が変わるしかない。
もし同じ状況にあるなら、相手に期待したり、相手のせいにするのを、まず辞めてみてください。
きちんとした態度や言葉づかい、敬語が話せる人は、それだけでも高評価です。
会社員としての生活をスムーズに送りやすい人になれます。これは態度(マナー)にも共通して言えます。
相手を大切にする、リスペクトすることで、仕事はスムーズに人間関係が良い形になるのが社会人です。
現場監督は非常に多くの人と関わる職業です。断言できます。敬語とマナーは、仕事以前に身に付けて、磨きをかける。
今後の現場監督としての生活が楽になりますよ。
社会人が身に付けたい基本の敬語
ビジネスの場でよく使われる敬語や言い回しを5つ紹介します。
この5つを仕事の場で自然に発せるようになると、相手にしっかりしてるなと、良いイメージを持ってもらえます。
どんな言葉と間違えやすいのかも、あわせて紹介します。
- ×どうも。→○お世話になっております。
- ×よろしくです。→○よろしくお願いいたします。
- ×了解しました。→○承知しました。
- ×すみません。→○申し訳ありません。
- ×いいですか。→○よろしいでしょうか。
特に「了解しました」や「了解です」はよく言いがちですが、実は目上の人に対して「了解」というのは失礼にあたるので、やめた方がいいです。
「報告・連絡・相談」(ホウレンソウ)は必ず実行
現場監督に限った話ではありませんが、経験が浅い人に失敗はつきものです。
現場監督歴15年の僕も、よく失敗します。
失敗に動揺して隠したり、報告しないでいると、大きなトラブルにつながることもあります。
怒られることを恐れずに、すぐに報告をしましょう。
報告する時ですが、長々と経緯を説明してから最後に結果を言うと、怒られやすいです。
先に結果を言ってから、その後に失敗の経緯について説明した方が、相手に伝わりやすくて良いですよ。
よけいなお世話だと思われないために、言葉づかいを「少し」変えて話してみる
嫌味を言ったつもりは全くなかったのに、ちょっとしたひと言で相手を不機嫌にさせてしまった。
言葉というのは怖いもので、使い方をひと言間違えると人間関係にひびが入ったり、取返しがつかなくなることもあります。
でも、もっと怖いのは、相手をイラっとさせることを言っている自覚が無い人です。
あなたも気付かないままマイナスの口癖が習慣化していて、周囲との人間関係を築くことができずに悩んでいませんか?
同じことを伝える場合でも、使う言葉次第で、まったく違った意味に受け取られることがあります。
次からはそのような事例も紹介するので、是非職場でのコミュニケーションに役立ててみてください。
×ご苦労様です→○お疲れ様です
目上の人に「ご苦労さま」と言ってはいけません。
「ご苦労さま」は上の立場の人が目下の人に対して使う表現だからです。
僕はこの失敗をやっていました。
上司に「ご苦労さま」と言われて、そうか社会では「ご苦労さま」と挨拶すればいいんだなと。
社会人3カ月目くらいのとき、いつも通り上司に「ご苦労さまでーす」と挨拶して、怒られました。
×大変ですね→○仕事が忙しいんですね
人は基本的に、自分の状況や気持ちを理解してほしいと思う生き物です。
「現場でこんなトラブルがあった」
「書類が受理されず何回も作り直しになった」
ということをわかってほしいのに、大雑把に「大変ですね」とひとくくりにすると、上辺だけの社交辞令に聞こえ、不快になります。
×勉強になりました→○苦情対応の話が特に参考になりました
相手の話を聞いて、何が勉強になったのか、ひと言でもいいので具体的な言葉で伝えることが大事です。
会話の中で、相手の話に対して感想を伝える機会。
よくあることですが、あなたの返事が
「勉強になりました」
「参考になりました」
このような漠然とした言葉だけだと、社交辞令だと思われてしまいます。
特に相手が上司など目上の人である場合、無難に返そうと思うがあまり、こういった言葉を言いがちではありませんか?
相手が一生懸命話してくれたことを、
「勉強になりました」
などと、たったひと言で簡単にまとめてしまうだけでは、相手をガッカリさせてしまうことも。
上司に大事な話をされて、最後にあなたが
「勉強になりました」
と答えて、
「本当に聞いてたか?」
と言われた経験、ありませんか?
×できれば早めにお願いします→○月末までにお願いします
「できれば」
「早めに」
いずれも、あいまい表現の危険なキーワードです。
あいまいということは、人によって受け取り方が違うからです。
なので、例えばですが
「今月末までに、この書類を作成願いたいのですが、難しい場合はご相談ください」
と、はっきりと希望を伝えましょう。
あなたからすると、気を使って
「できれば早めに」
と言ったつもりかもしれませんが、
「できればとあったので、別件の仕事が忙しかったので手をつけていません」
と後になって連絡を受ける可能性があります。
まとめ
今回は、現場監督として良い人間関係を築くための、『話し方』や『態度』について解説しました。
- 『話し方』や『言葉づかい』を、あなたから変えていく
- マナー『エチケット + 相手への気づかいと思いやり』をもつ
- 『メール』よりも、5分でも時間があれば『会いに行く』
- 『報・連・相』(ホウレンソウ)は必ず実行する
要点は、他人は変わらない。
理由は他人はコントロールできないから、あなたが変わるしかないからです。
ただし、世の中には「何となくあなたが嫌い」という不合理な考えをもった、見た目は大人だけど中身は子供のような人も一定数います。
そんな人があなたの上司なら、他の建設会社も視野に入れてみてください。
上司の顔色を伺って行動してばかりだと、あなたの市場価値は伸び悩むことになります。
あなたが最悪な出来事を経験せずに済むために、僕が現場監督として体験した最悪な経験も、ぜひ参考にしてくださいね。
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