激務な現場監督は知っておきたい!失業保険の内容と申請方法について詳しく解説
建設現場の施工管理を行う現場監督にとって、必ずと言っていいほど発生する残業。
現場監督は担い手不足も影響して、日中は現場、夜に書類仕事。
そんな労働環境になっている現場監督は非常に多いです。
転職したいと思っても、生活していくためのお金が心配だから、辞めたくても辞められない…と思っていませんか?
仕事が忙しすぎたり、メンタルがやられて体調を崩してしまったけれど、生活していくために無理してでも頑張らないといけない?
そんなことはありません。
日本には充実した社会保険制度が存在します。
会社員の場合、社会保険の健康保険や雇用保険にある、傷病手当金・失業給付という制度により、怪我や病気が原因による失業リスクに備えることが可能です。
万が一の失業リスクに備えて、ぜひ本記事を参考にしてくださいね!
この記事をご覧になっているということは、現場監督としての生活が苦痛になっているのではありませんか?
記事を読むこと自体が負担にならないよう、できるだけ図を用いてわかりやすく説明します。
- 激務になりがちな現場監督の失業リスクに備える
- 失業リスクに備える社会保険の制度
- 失業保険を受給できる条件・金額・期間
- 失業保険の申請方法
当サイトでは、施工管理の問題や現場監督が抱える悩みに答えるコンテンツを用意しているので、ぜひ参考にしてくださいね!
当サイト『ゲンプラ』の運営者:ランメイシ
現場監督と家庭(プライベート)の両立を応援するために、土木工事の施工管理をやっている現役の現場監督(歴16年)が当サイトを運営。施工管理業務の悩みに全力でサポートします!ご安全に!
保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士
主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事
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失業リスクに備えられる社会保険の制度「傷病手当金・失業給付」
失業リスクに備えることができる社会保険制度「傷病手当金・失業給付」について。
社会保険制度は、以下の図のように分類されています。
(出典:スモビバ!-労働保険・社会保険とは何か?)
「傷病手当金・失業給付」 がどの保険に該当するのかについては、以下の通りです。
- 傷病手当金…健康保険
- 失業給付…雇用保険
傷病手当金
傷病手当金は、ノイローゼやうつ病などのメンタル疾病となってしまった方が、休職中または退職後に受け取ることができる制度です。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
(出典:全国健康保険協会-協会けんぽ-病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金))
傷病手当金を受け取る条件
- 1年以上、社会保険に加入している
- 仕事以外の事由による病気や怪我によって、働くことができない
- 休業期間中に給与の支払いが無い
- 病気や怪我で、連続3日以上会社を休んでいる(土日・祝日含む)
- 退職日に出勤していない
簡単にいうと、1年以上建設会社で働いていてノイローゼや自律神経失調症になったり、うつ病になった等、メンタルを病んだ方なら、傷病手当金を受け取る資格があります。
社会保険に加入については、建設会社に勤めている人(自営業以外の人)であれば大丈夫です。
通常時より働くことが困難になっている理由が、精神的な理由の場合、怪我と違って見た目からは分かりにくいですよね。
真面目に仕事に取り組んでいる人ほど、体調が悪いのに無理をして頑張ってしまうことでしょう。
この傷病手当金についても、制度を知らない人がいる一方、もらうのが悪いと思って申請をためらう方もいます。
ですが、傷病手当金は国が定めている制度ですし、あなた自身もこれまで毎月高い社会保険料を支払ってきたわけです。
自分で払ってきた保険料ですから、傷病手当金の制度が適用される場合は、しっかり受け取るべきです。
病気や怪我で働くことができない状態といっても、範囲が広くて自分では判断が難しいと思いませんか?
仕事が辛くて現場に行きたくないとか、辞めたいと思っているということは、軽度のうつ症状があるので対象者となります。
(出典:大塚製薬-うつ病の症状)
上記のような症状が、今は大したことないと思っていても、心や身体に支障をきたしてからでは手遅れになる恐れがあります。
健康な時は行動を起こすのがそれほど大変ではないとしても、メンタルを病んだ状態ではどうでしょうか?
傷病手当金の申請どころではなくなっているはずですし、申請自体も期限があります。
せっかくの国の制度を活用できぬまま過ごしてしまわぬよう、辛いと思ったら一度病院に行ってみましょう。
お医者さんが就業困難と認めたら傷病手当金の給付は受け取ることができます。
ちゃんと症状をお医者さんに伝えれば思いを汲んでくれますし、お医者さんが働けない状態であることを判断してくれれば、そのまま傷病手当金の給付申請を手続きに進みましょう。
傷病手当金について、より詳細を知りたい場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)ホームページにて、詳しい支給の条件等が記載されています。
ただし、難しい部分も多いので時間のあるときに、ゆっくり目を通していくのがおすすめです。
傷病手当金の金額
- 直近1年の残業代なども含めた月給の約6割(2/3程度)
例えば給与が25万円の人であれば、月給の約6割を最長で18カ月。
最大で、約270万円受け取ることが可能です。(25万円 × 0.6 × 18カ月 = 270万円)
傷病手当金を受け取ることができる期間
- 最長で1年6ヵ月(18カ月)
傷病手当金を受け取るための申請方法
- 傷病手当金支給申請書をインターネットからダウンロードし、「被保険者記入用」を記入
- 病院に行き、お医者さんに「療養担当者記入用」に記入を依頼
- 所属している会社に「事業主記入用」に記入を依頼
- 傷病手当金を申請する
傷病手当金支給申請書の様式ダウンロードページは以下からどうぞ
どんな病院に行けばいいのかというと、診療内科や精神科が良い
傷病手当金支給申請書の「療養担当者記入表」をお医者さんに書いてもらう際、どこの病院に行けばいいのかというと、以下の病院がおすすめです。
先客の予約などがあるので、数日前にあらかじめ予約を取っておくのが確実です。
- 診療内科
- 精神科
- 外科
お医者さんには、あなたの状態について正直に伝えてください。
体調不良の原因は「不詳」と書いてもらうのが望ましいです。
もし原因が「職場でのストレスによる鬱」と診断書を書かれると、労災扱いとされて肝心の傷病手当手金を受け取ることができません。
就労不可の診断がおりなかった場合は別の病院に行ってみる
もし、お医者さんに診てもらって就労不可の診断が下りなかった場合は、別の病院をあたってみましょう。
就労不可と認められなかった場合、傷病手当金は受け取ることができません。
あなたが本当に辛い状態なのに、お医者さんが診断書を書いてくれない場合もあります。
精神的なストレスが理由の体調不良を、どの程度で判断するかはお医者さんも人間なので、相性の良し悪しも絡んでくるためです。
失業給付
雇用保険の被保険者が失業した場合にもらえるお金が失業給付で、一般的に「失業保険」と言われています。
失業給付の受給条件
- ハローワークで求職の申し込みを行い、働く意思があるのに職業に就けない状態であること。
- 原則、離職日以前の2年間に雇用保険の加入期間が通算12カ月以上あること。
失業給付の受給額の計算方法
- 受給額は「賃金日額 × 給付率 × 所定給付日数 」で計算されます。
以下に参考例を記載するので参考にしてみてください。
【想定条件】
- 年齢:25歳
- 就業年数:3年間
- 退職前6ヵ月の賃金総額:180万円(賞与は含めない)
【受給額】
- 賃金日額 = 180万円 ÷ 180日 = 1万円/日
- 給付率:50%
- 所定給付日数:120日
- 受給額 = 1万円 × 50% × 120日 = 60万円
上記はあくまでも計算例です。
給付率や所定給付日数は、とても細かく設定されていますので、詳細を知りたい場合は以下から確認ができます。
厚生労働省(Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~)
退職理由が「自己都合」か「会社都合」かで受給の開始時期が異なり、「会社都合」の方が受給開始が早い
失業給付の受給開始時期は、退職理由が「自己都合」か「会社都合」かで異なります。
- 自己都合で退職…失業給付の受給開始まで約3カ月(約12週間)
- 会社都合で退職…失業給付の受給開始まで約5週間
自己都合の場合は約3カ月、会社都合だと1回目の受給まで約5週間の時間がかかります。
自己都合で会社を辞める場合、失業給付をもらえるまでの間、貯金を切り崩して生活する必要があります。
会社都合退職が認められるケース
雇用保険で優遇措置を受けられる「会社都合」による退職として、厚生労働省は以下のような場合を挙げています。
「倒産」等により離職した者
- 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
- 事業所において大量雇用変動の場合(1カ月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
- 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴い離職した者
- 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
「解雇」等により離職した者
- 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した者
- 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
- 賃金(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2カ月以上となったこと。又は離職の直前6ヵ月の間に3カ月あったこと等により離職した者
- 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る)
- 離職の直前6ヵ月間のうちに、3カ月連続して45時間、11ヵ月で100時間又は2~6ヵ月平均で月80時間を超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
- 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
- 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
- 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記⑦に該当する者を除く)
- 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者
- 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
- 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3カ月以上となったことにより離職した者
- 事業所の業務が法令に違反したため離職した者
詳細については、特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準に示されています。
会社都合退職のメリット
- 給付の支給時期が早い
- 給付日数が長く、最大140万以上多く受け取れる
自己都合退職の場合、失業給付金を受け取るにはハローワークで手続きを行ってから、最短でも3カ月と7日を要します。
会社都合退職だと1週間しかかかりません。
自己都合退職と比べ早期に失業手当を受け取ることができます。
【失業給付金が支給される日数】
- 自己都合退職の場合は90日~150日
- 会社都合退職の場合は90日から330日と2倍以上。
給付日数に差があるということは当然、給付総額も変わってきます。(以下参照)
【失業手当の金額】
- 自己都合退職でもらえる失業手当の金額が最大260万円
- 会社都合退職でもらえる失業手当は最大118万円
会社都合退職と自己都合退職とでは、140万円もの開きが生まれることもあります。
会社都合退職のデメリット
- 会社は厚生労働省から助成金を受け取るため「自己都合退職」にしたがる
- 転職活動で人事担当から「何らかのネガティブな理由で解雇された」と思われ、印象が悪くなる可能性がある
- 転職活動を行う際、応募先への履歴書や職務経歴書の提出は必須となるが、「会社都合退職」の記載により、選考の段階で不利にならないよう、会社都合退職の理由を準備しておく
- 履歴書などに記載する場合は、具体的な理由を簡単に添えるのも効果的
転職では「自己都合退職」も「会社都合退職」も無関係
退職後に受ける社会的補助が大きいという面で、「自己都合退職」よりも「会社都合退職」の方が有利なのは事実です。
しかし、転職活動を進めるとなると、人事担当にマイナスのイメージを抱かれるなど、良いことだらけとは言えません。
ただし、退職の原因が会社側にあるとはっきり証明できるなら話は別です。
会社の要求に従った結果、不当な「自己都合退職」になってしまったという事態にならないよう注意しましょう。
転職エージェントを利用すれば、「自己都合退職」又は「会社都合退職」に関わらず、企業の採用担当者にあなたを最大限アピールしてくれます。
傷病手当金・失業給付を申請する手順
傷病手当金や失業給付の申請は手順が重要です。
以下より、「傷病手当金(健康保険)」と「失業給付(雇用保険)」申請の手順を順番に解説します。
- 申請するための条件に合致しているか確認
- 退職前に済ませておくこと4つ
- 健康保険(傷病手当金)の手続き
- 雇用保険(失業給付)の手続き
- 任意で職業訓練校に通うことが可能
申請するための条件に合致しているか確認
申請するための前提条件として、退職後も傷病手当金を受給する場合、健康保険に1年以上加入していることが必要です。
「健康保険に1年以上加入」という条件は、退職後も傷病手当金を受給することを想定した場合となります。
退職後の受給を考えていない場合は、健康保険に1年以上加入していなくとも、傷病手当金の受給が可能です。
受給要件については、加入している健康保険組合に確認してみましょう。
ちなみにですが、傷病手当金と失業給付を同時に受け取ることはできません。
そのため、傷病手当金を受け取りながら治療に専念し、働ける状態になったら、失業給付を受けながら就職活動をする流れとなります。
退職前に済ませておくこと4つ
会社を辞める前に、やっておかなければいけないことがあり、以下の4つです。
- 在職中に連続で3日以上会社を休む
- お医者さんに働けない状態だと証明してもらう
- 会社に退職を打診 → 退職願を提出
- 退職日は欠勤する
在職中に連続で3日以上会社を休む
傷病手当金を受け取とるためには、「在職中連続3日以上働けなかった日がある」という条件があります。
重要なのは連続3日以上であり、具体例を紹介します。
(出典:全国健康保険協会-病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金))
【条件クリアのケース】
- 土日祝日を含めてOK(金土日や土日月など)
- 土日祝の3連休
- GWなど
- とにかく3日以上連続していればOK
【条件クリアできていないケース】
- 水木休みで金曜出勤して土日休み
- 連続3日以上ではないためNG
「連続3日以上」は土日祝日だけでなく、有給休暇や公休を使っても大丈夫です。
お医者さんに働けない状態だと証明してもらう
退職後も傷病手当金を受け取る場合、「退職日も欠勤する」必要があります。
そのため、3日以上休み続けて退職日も欠勤して退職することになるでしょう。
会社を休む日が決まったら、病院で医師に働けない状態だと証明してもらいましょう。
傷病手当金は、ケガや病気で働けない状態であることが条件になっているため、お医者さんによる判断が必要となります。
症状に合わせて、以下のような科がある病院やクリニックに行けば大丈夫です。
【症状:倦怠感・疲労感・動悸・手足のしびれや震え・めまいや耳鳴り・腹痛や下痢など】
- 診療内科
【症状:不安・抑うつ・不眠・幻覚・幻聴・妄想・物忘れなど】
- 精神科
【症状:ケガによる外傷など(勤務中・通勤を含め、業務以外のもの)】
- 外科
お医者さんに相談して、原因を「不詳」として診断書を出して貰えないか確認しましょう。
会社に退職を打診 → 退職願を提出
体調が良くならない場合、会社に退職する旨を伝えて退職願を提出しましょう。
退職願の提出は、約1カ月前にすれば基本的に問題ありません。
余裕があれば2カ月前から提出しておくと、ゆとりを持って次の行動に移ることができます。
ただし、現場監督が行う施工管理の職業は担い手不足により、退職届を上司に提出しても簡単には受理してくれないでしょう。
上司も、あの手この手で退職を阻止しようとしてくるはずです。
悪質な引留めには気を付けてくださいね!
会社に尊敬できる上司がいるから、できれば今の会社でもっとスキルを身に付けたい。
あるいは、今の職場の状況が原因で体調を崩してしまったのであれば、労働環境の改善を会社に打診する。
というのも検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、労働環境の改善は、時がたつにつれて体調を崩してしまった頃の労働環境に戻ってくる可能性もあります。
退職日は欠勤する
退職日に最後の出勤だと思って、会社に行くのはNGです。
退職日に欠勤することも傷病手当金を受け取る条件の1つで、退職日に出勤すると「働くことができる人」と認定されてしまいます。
退職日に休むことで、就労できないまま退職し、退職後も給付金が必要な人として判断されるからです。
退職日に荷物を取りに行くことも認められていません。
必ず退職日を過ぎてから、荷物の整理や受け取りに行きましょう。
ちなみに、退職日が公休の場合は休んだと判断されます。
健康保険(傷病手当金)の手続きを退職後14日以内に行う
会社を退職したら、まずは健康保険から国民健康保険に切り替えましょう。
もしくは、会社で加入していた健康保険の任意継続(最大2年間)もできます。
健康保険を「国民健康保険に切り替え」または「任意継続」のうち、どちらの保険料が安くなるかについては人により異なります。
市役所・区役所に連絡すると詳しく教えてもらえますよ。
判断には期限があるので、忘れないよう注意しましょう。
- 国民健康保険に切り替え → 14日以内
- 健康保険を任意継続 → 20日以内
傷病手当金申請のやり方
次に傷病手当金の申請準備のため、申請書を入手しましょう。
申請書の入手方法は、在職中に加入していた健康保険組合によって異なります。
ほとんどの方が「協会けんぽ」ですが、協会けんぽ以外の人は「けんぽれんの健保組合検索」で調べるか、もしくは健康保険組合に問い合わせてみてください。
協会けんぽの場合は、こちらから申請書をダウンロードできます。
申請書には以下の3つのページがあります。
- 「あなた」が記入するページ【被保険者記入用ページ】
- 「お医者さん」が記入するページ【療養担当者記入用ページ】
- 「勤務先の会社」が記入するページ【事業主記入用ページ】
こちらに記入例がありますので、記入の際は参考にしてみてください。
2回目の通院と傷病手当金の申請書記入依頼
退職して1週間ほど経ったら、再度病院で診察を受けて、医師に現在の症状を伝えましょう。
その際に、申請書を医師に渡して記入してもらいます。
傷病手当金を継続して受け取るためには、毎月病院を受診することが必要です。
そのため、1カ月以内を目安に次の予約を取って帰りましょう。
会社に傷病手当金申請書の記入依頼(事業主記入用ページ)
傷病手当金の申請書には、勤務先の会社が記入するページがあります。
直接会社に行って書いてもらうのもありですが、会社の人と会うことに抵抗のある人もいるでしょう。
その場合は、郵送で申請書を会社に送付して記入依頼でも問題ありません。
会社にあなたの病名などはバレないので、既に退社しているあなたの耳に入ることはありませんが、あなたのことで会社に変なウワサが出たりすることもありません。
郵送して会社に記入してもらう場合は、返送用の封筒や切手も忘れずに同封しておきましょう。
申請書を送付する
申請用紙全ての記入が終わったら、まとめて封筒に入れて、健康保険組合または協会けんぽに送付しましょう。
申請して1カ月ほどで、「支給決定通知書」または「不支給通知決定書」が返送されます。
雇用保険の受給期間を延長する申請を行う
次は、雇用保険の受給期間を延長する申請をします。
傷病手当金は「お医者さんが働ける状態であると判断する」または「申請初日から18カ月経過するまで」は受け取ることができます。
しかし、失業給付は退職後1年を過ぎるともらえなくなるため、傷病手当金を受給している間に失業給付をもらえる期間を過ぎてしまう可能性があります。
傷病手当金と失業給付は、同時に受け取ることができません。
失業給付(雇用保険)の支給には、労働の意思・能力を有することを要求され、労働ができないことを支給要件とする傷病手当金と相反するため。
延長の申請は、ハローワークで「病気治療のため受給期間延長申請書を出したい」と伝えましょう。
ただし、失業給付の申請は退職後32日以降でなければ、受け付けてもらえません。
傷病手当金の支給決定までに約1カ月は要するので、この記事の順番通りに手続きを行っていれば大丈夫です。
毎月1回は通院する
傷病手当金の受給が始まったら、毎月1回は通院しましょう。
継続して傷病手当金を受け取るためには、毎月、傷病手当受給申請書を健康保険組合または協会けんぽに提出する必要があるからです。
申請書を送らなかった場合、治療の意思がないと判断されてしまい、傷病手当金を受け取れることができなくなってしまいます。
ただし、傷病手当金申請書で会社に書いてもらうページ(事業主記入用)は最初の1回だけです。
その後はあなたとお医者さんのページに記入があれば大丈夫です。
- 傷病手当金受給開始後は毎月1回通院し、傷病手当金支給申請書を毎月提出する。
- 傷病手当金申請書の会社が記入するページ(事業主記入用)は最初の1回でOK。
- 傷病手当金申請書の提出は、2回目以降はあなた(被保険者記入用)とお医者さん(療養担当者記入用)のページに記入があればOK。
当然のことですが、病気が治れば傷病手当金の給付は止まります。
繰り返しになりますが、傷病手当金の支給は最長で18カ月です。
一度治って再発した場合は、人によって「受け取れる・受け取れない」の意見が異なるため、明確なことは言えません。
再発の可能性なども含めて、本当に治っているかどうかはお医者さんに判断してもらいましょう。
雇用保険(失業給付)の手続き
傷病手当金を最大18カ月受け取った、または病気が治って働ける状態になったら、失業給付の手続きを行いましょう。
失業給付は働ける状態の人が就職活動期間中にもらえるものであり、ケガや病気の治療で働けない状態では受け取れないので注意が必要です。
病気の治療が終わり働ける状態になったら、医師から働ける証明をもらう必要があります。
失業給付の申請手順は以下の通りです。
- 雇用保険の受給期間延長申請の解除準備をする
- 病院で就労可能証明書を記入してもらう
- 受給期間延長申請の解除をする
- 求職活動をする
- 就職が決まったら再就職手当がもらえることもある
雇用保険の受給期間延長申請の解除準備をする
失業給付をもらうために、まずは雇用保険の受給期間延長申請を解除する準備を行います。
そのためには、お医者さんから就労可能証明書(就労可否証明書)をもらう必要があります。
失業保険の延長解除に必要な書類は、延長理由や失業保険の受給手続きの有無によって異なります。
詳しくはハローワークで教えてくれるため、雇用保険の受給延長の解除に必要なものを確認しておきましょう。
病院で就労可能証明書を記入してもらう
就労可能証明書を手に入れたら、通っていた病院で記入してもらいましょう。
就職活動を始めること、失業給付をもらうために必要であることを伝えたら記入してくれます。
受給期間延長申請の解除
就労可能証明書を記入してもらったら、ハローワークに行き、受給期間延長申請の解除を行いましょう。
印鑑や離職票、受給期間延長申請書など必要なものがあるため、事前に確認しておくとスムーズに申請ができます。
また申請の際に、以下のような就職困難者であることを必ず伝えてください。
- 身体障害者(身体障害者手帳を持っている)
- 知的障害者(療育手帳を持っている)
- 精神障害者(精神障害者保健福祉手帳を持っている)
- てんかん、そう病・うつ病、統合失調症に該当し、主治医の意見書によって確認が可能な方。(うつ状態や抑うつ状態では不可)
- 社会的な差別などで就職が困難な方、保護観察中の方。
もし伝え忘れた場合、失業給付が3カ月程度しか受け取れなくなる可能性があります。
就職困難者は本来、失業給付の受給期間が45歳未満だと10カ月、45歳以上だと12カ月です。
就労可能証明書と主治医の意見書などの書類があれば、基本的には就職困難者として対応してくれるはずですが、口頭でも伝えておいた方が安全でしょう。
求職活動をする
失業給付を受け取るためには、月に2回ハローワークに行って求職活動を行う必要があります。(ただし、就職困難者の場合は認定日時の1回のみ。)
なぜなら、求職活動中しか失業給付がもらえないからです。
ちなみに、健康保険から国民健康保険に切り替えている人は、減免申請もしておくと手元のお金が減りにくくなります。
市役所や区役所で減免申請ができるので、金銭面で不安がある方はやっておきましょう。
就職が決まったら再就職手当がもらえることもある
職業訓練校に通う場合、その間は失業給付の受給期間が延長されます。
訓練校によって期間は様々であり、2カ月~2年程度まであります。
また、職業訓練には大きくわけて公共職業訓練と求職者支援訓練の2種類があり、雇用保険のメリットがあるのは、公共職業訓練のみです。
- 雇用保険の給付制限解除や延長がある
- 受講手当(500円✕40日)を受け取れる
- 通所手当(公共交通機関使用時に42,500円を上限)を受け取れる
- (なお、訓練開始日における雇用保険残日数によっては、メリットが受けられない場合もあるため、必ずハローワークの訓練担当者に確認をしてください。)
一方、求職者支援訓練には、上記のメリットはありません。
雇用保険の制度の一つに教育訓練給付金もあります。
まとめ:失業リスクに対して、対策を知れば精神的・身体的にゆとりをもって行動できる
この記事では、ケガや病気による失業リスクへの備えになる公的保険の制度を解説しました。
今回解説した傷病手当金や失業給付の制度を知っておけば、心に余裕が生まれるはずです。
例えば、身体を壊しているのにもかかわらず、生活費が心配でブラック企業から抜け出せない人もいるのではないでしょうか。
通常なら失業給付は3カ月で終わりですが、ケガや病気で医師が働けないと判断した場合は最大で2年6カ月間、補助が受けられます。
その差は数百万円以上です。
損や得といった話ではありませんが、知っているだけで大きな精神的余裕に繋がるのは間違いないでしょう。
我慢強い人や頑張ってしまう人ほど無理をしがちです。
体を完全に壊してからでは遅いので、十分な休息も取りましょう。
毎月社会保険料をしっかり納めているわけですから、後ろめたさを感じる必要は一切ありません。
しかし、こういった制度があると知ってさえいれば、メンタルを病んでしまった・身体を壊してしまって働くことができなくなったとしても、あなたを守ってくれる国の制度があります。
働けなくなったら生活ができない!
なんてことにはならないので、精神的・身体的にゆとりをもって行動できますよね。
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