建設機械をリースして現場で使うんだけど、リース屋さんってこっちから言わないと点検記録とかの書類を出してくれないし、必要な書類が揃っているのかよくわからない。特定自主検査ってどんな機械が対象になるの?
こんな疑問に答えます。
現場で建設機械をリースするとき、リース会社さんから機械の安全関係書類をすぐに出してもらえないってこと、ありませんか?
そんな時に、
「この機械、特定自主検査の写しをもらってないけど、対象だったっけ?」
「現場で機械にステッカー貼ってあるか、見るの忘れちゃったな」
本来は書類を事前に一式出してもらったうえで、現場での使用を許可するものです。
しかし、現実は書類が手元に届くのは結構後になったり、不足があったりと、難しいですよね。
本記事では建設現場で使用する建設機械のうち、特定自主検査の対象になっている重機と、
現場で管理するときの注意点について解説します。
- 特定自主検査の対象となる重機
- 現場で建設機械を管理する時の注意点
- 有効期限は月単位なこと
特定自主検査が必要な重機の一覧表
特定自主検査の対象機械は、公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会より、
詳しい一覧表(PDF)と共に出されているので、引用して紹介します。
PDFデータをダウンロードできる記事へは、こちらからアクセスできます。
(出典:公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会:特定自主検査)
車両系建設機械の点検については、安衛則に規定されています。
労働安全衛生規則 第二編 第二章 建設機械等
第一節 車両系建設機械 第三款 定期自主検査等
(出典:中央労働災害防止協議会 安全衛生情報センター 労働安全衛生規則)
特定自主検査制度の仕組みと関係条文については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
車両系荷役運搬機械
特定自主検査の対象となる機械のうち、車両系荷役運搬機械からは以下の機械が該当します。
フォークリフト
- カウンターバランス式
- ピッキング式
- リーチ式
不整地運搬車
- クローラ式
- ホイール式
車両系建設機械
特定自主検査の対象となる機械のうち、車両系建設機械からは以下の機械が該当します。
整地・運搬・積込み用機械
- ブルドーザー
- モーターグレーダー
- トラクターショベル
- ずり積機
- スクレーパー
- スクレープドーザー
掘削用機械
- パワーショベル
- ドラグショベル
- ドラグライン
- クラムシェル
- バケット掘削機
- トレンチャー
基礎工事用機械
- 杭打ち機
- 杭抜き機
- 硬質地盤油圧式杭圧入機
- アースドリル
- リバースサーキュレーションドリル
- せん孔機(チュービングマシンを有するものだけ)
- アースオーガー
- 建柱車
- ペーパードレーンマシン
締固め機械
- ロードローラー
- タイヤローラー
- 振動ローラー
- ハンドガイドローラー
コンクリート打設用機械
- コンクリートポンプ車
解体用機械
- ブレーカー
- 鉄骨切断機
- コンクリート圧砕機
- 解体用つかいみ機
- 特定解体用機械(ロングブーム)
高所作業車
特定自主検査の対象となる機械のうち、高所作業車からは以下の機械が該当します。
- ブーム型(トラック式)
- ブーム型(クローラ式)
- マスト型(ホイール式)
- シザース型(ホイール式)
- シグマ(Σ)型(ホイール式)
土木の現場で使う建設機械は、ほぼ全て対象な印象だね。
ハンドガイドローラーも特定自主検査の対象なんだ。
建荷協から配布されている特定自主検査対象機械一覧はイラスト豊富でわかりやすいから、印刷して現場事務所の壁に掲示するといいよ。
特定自主検査は人間でいうと健康診断
両系建設機械、車両系荷役運搬機械及び高所作業車については、労働安全衛生法により事業者は1年を越えない期間ごとに1回。(ただし不整地運搬車は2年を越えない期間ごとに1回)
定期に、有資格者による自主検査を実施しなければいけません。
この定期自主検査(年次検査)のことを、特定自主検査と言います。
現場では、略して「特自(とくじ)」と呼ぶことが多いですね。
特定自主検査は人間でいうと、年に一度の「健康診断」や「人間ドック」と同じです。
現場で注意しておきたいこと
特定自主検査について、現場での管理で注意すべきことは、以下の通りです。
- 機械に標章(ステッカー)が貼られているか確認する
- 有効期限は常に把握できるようにする
- 毎年11月は特定自主検査の強調月間なので特に気をつける
機械に標章(ステッカー)が貼られているか確認する
機械が現場に搬入されたら、全景・型式番号表示・排ガス及び低騒音のステッカーを順番に写真を撮影しますよね。
その時に特定自主検査の標章(ステッカー)も写真を撮っておけば、現場事務所で写真データから確認することができます。
現場事務所で機械の書類をまとめるときに、
あれ?今日入ったバックホウに特定自主検査のステッカーちゃんと貼ってあったっけ?
なんてことを防ぐことができます。
でも、バックホウみたいに運転席の中に標章(ステッカー)を貼るのが一般的な場合、運転席に鍵がかかっていると写真が撮れないっていうこともあるので、鍵は持っていた方が良いですね。
有効期限は常に把握できるようにする
有効期限は月単位なので、前年の検査日から1年過ぎたからといって法違反にはなりませんが、月末ギリギリで気付いたら大変です。
機械の点検表を整理しているファイルの表紙に、各機械の特定自主検査実施日を書いておけば、点検表ファイルを開くたびに検査日を確認できるので管理しやすいです。
毎年11月は特定自主検査強調月間
11月は特定自主検査協調月間です。
労働基準監督署が抜き打ちで現場に来て有効期限が切れていないか確認に来ることがあります。
国交省発注工事のような大規模工事の場合、僕の経験上ほぼ確実に労働基準監督署が重機の特定自主検査の期限が切れていないか確認に来てるよ。
労働基準監督署が現場に来て確認していくことは、以下の通りです。
- 重機の特定自主検査の日付を確認
- 特定自主検査の実施会社名を確認(標章に記載されている)
- 書類を確認することもある
特定自主検査は月単位!1日でも過ぎていたら法違反は間違い
よくある疑問で、特定自主検査の書類には検査日が記入されているが、検査の翌年はその日付から1日でも過ぎたら法違反なのか、というもの。
検査標章は「年月」までを記入することとされています。
つまり、月単位で見ています。
記録表の検査日が5月〇〇日の場合、翌年は5月中に検査を行えば法違反にはなりません。
詳しくは、中央労働災害防止協議会、安全衛生情報センターの「法令・通達」から、「特定自主検査」とフリーワード検索などで調べることができます。(ちょっと読みづらいです)
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