職長や安全衛生責任者向けの安全衛生教育を解説【厚生労働省公表】
下請業者にそれぞれ職長がいるけど、職長ってどんな人ができるの?
こんな疑問に答えます。
まず前提として、職長は経験を積んだらできるってワケじゃないよ。
職長という職務に就くためには、労働安全衛生法で定める安全衛生教育を受けることが義務付けられています。
本記事では、以下の内容について解説します。
- 職長という職務に就くための条件
- 職長・安全衛生責任者教育カリキュラム
当サイト『ゲンプラ』の運営者:ランメイシ
現場監督と家庭(プライベート)の両立を応援するために、土木工事の施工管理をやっている現役の現場監督(歴16年)が当サイトを運営。施工管理業務の悩みに全力でサポートします!ご安全に!
保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士
主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事
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職長になるためには安全衛生教育が必要(労働安全衛生法第60条)
建設現場で直接労働者を指揮する職長は、労働者の健康と安全を確保する上でとても重要な立場にあります。
つまり、職長や安全衛生責任者が安全衛生に関する知識の有無で、その職場や作業の安全衛生の状況が大きく変わってきます。
建設業の場合、現場では職長の他、親方・世話役・班長・工長など、いろいろな呼び方がありますね。
こんな立場の職務に新規で就くことになった人に対して、安全衛生教育を行うことが義務づけられています。(労働安全衛生法第60条)
労働安全衛生法
(安全衛生教育) 第60条
事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
二 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの
(出典:E-GOV法令検索)
また、安全衛生責任者は、建設業における通常50人以上の混在作業現場(元方事業者の労働者と関係請負人の労働者が同一の場所で作業をすること)において、関係請負人側が選任する職です。
混在作業現場で義務付けられている統括安全衛生管理の関係請負人側の責任者として、重要な職務を担っています。
建設業では、職長が安全衛生責任者に選任されることが多いです。
そのため、厚生労働省は「職長教育」と「安全衛生責任者教育」を統合した「職長・安全衛生責任者教育」の実施を推進しています。
職長と安全衛生責任者を一体的に安全衛生教育を実施することが効果的との考え方から、厚生労働省では職長・安全衛生責任者教育カリキュラム(平成18年5月12日基発第0512004号通達)を公表しています。
中小建設業特別教育協会より、事業者責任と安全衛生管理についての説明動画
職長・安全衛生責任者教育カリキュラム一覧
職長・安全衛生責任者教育カリキュラムの一覧は以下の通りです。
教科目 | 教育時間 |
【1】 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること ① 作業手順の定め方 ② 労働者の適正な配置の方法 | 2時間 |
【2】 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること ① 指導及び教育の方法 ② 作業中における監督及び指示の方法 | 2.5時間 |
【3】 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること ① 危険性又は有害性等の調査の方法 ② 危険性又は有害性等の調査の結果に基づき講ずる措置 ③ 設備、作業等の具体的な改善の方法 | 4時間 |
【4】異常時における措置に関すること ① 異常時における措置 ② 災害発生時における措置 | 1.5時間 |
【5】その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること ① 作業に係る設備及び作業場所の保守管理の方法 ② 労働災害防止についての関心の保持及び労働者の創意工夫を引き出す方法 | 2時間 |
【6】安全衛生責任者の職務等 ① 安全衛生責任者の役割 ② 安全衛生責任者の心構え ③ 労働安全衛生関係法令等の関係条項 | 1時間 |
【7】統括安全衛生管理の進め方 ① 安全施工サイクル ② 安全工程打合せの進め方 | 1時間 |
教育時間の合計は14時間で、2日間かけて受講することになります。
また、それぞれの教育をまとめて行うワケではありません。
例えば一般財団法人 中小建設業特別教育協会で職長・安全衛生責任者教育を受講する場合、以下のような時間割となっています。
(出典:中小建設業特別教育協会 – 職長・安全衛生責任者教育 講習会のご案内)
5年ごとの再教育が必要?現状は『概ね5年ごとの再教育を推進』のみで再教育の義務は無し
職長・安全衛生責任者教育って、5年ごとの再教育が要るって聞いたんだけど?
現場によっては能力向上教育に準じた教育(概ね5年ごと)の受講を求める場合があるよ。
安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月21日付け基発第39号別添)では、 職長等、安全衛生責任者のそれぞれについて、事業者が、初任時及び概ね5年ごと又は機械設備等に大きな変更があったときに、能力向上教育に準じた教育(以下「再教育」という。)を受けさせるよう求めています 。
安全衛生教育及び研修の推進について(抜粋)
建設業界においては、技術革新の急速な進歩や労働力不足、労働者の高齢化や外国人労働者の増加など、様々な環境変化がおきており、これに伴う労働災害の増加が懸念されています。
また、職長等は、建設現場などで直接労働者を指揮・監督・指導する立場にあるため、安全衛生向上に努め、労働災害を防止するという重要な役割を担っています。
こうした状況を踏まえ、このたび(平成29年2月20日付け)厚生労働省より、建設業に従事する職長及び安全衛生責任者に対し、概ね5年ごと(又は機械設備等に大幅な変更があった場合)に、「建設業に従事する職長等の能力向上教育に準じた教育」の実施を推進するよう、新たにカリキュラムその他を定めた通達文書により都道府県労働局及び関係団体等に通知されました。
なお、これにより、従来の職長・安全衛生責任者教育の修了に加え、この教育の実施も求められるケースが増加するものと思われます。
建設業における職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育(再教育)
建設業では、職長等※1 の職務に新たに就くことになった者には、安全又は衛生のための教育を行わなければならないとされています。※2
また、一定の要件を満たす建設現場に入った事業者は、安全衛生責任者を選任しなければならないとされています。
安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月21日付け基発第39号別添)では、 職長等、安全衛生責任者のそれぞれについて、事業者が、初任時及び概ね5年ごと又は機械設備等に大きな変更があったときに、能力向上教育に準じた教育(以下「再教育」という。)を受けさせるよう求めています 。
職長等及び安全衛生責任者に対する教育は、事業者が自ら実施するほか、外部の安全衛生団体が実施しているものを受けさせることもできます。
関係請負人(下請け)として建設現場に入る事業者は、雇用している職長等及び安全衛生責任者に対し初任時に教育を受けさせるとともに、概ね5年ごと又は機械設備等に大幅な変更があったときにも再教育を受けさせるようにしてください。
元方事業者は、現場に入る職長等及び安全衛生責任者が初任時の教育及び再教育を受けているか確認するようにしてください。
※1 職長等とは、職長その他作業中の労働者を直接指導又は監督するもの(作業主任者を除く)をいいます。
※2 職長等の教育を行わなければならない業種は建設業のほか製造業などがあります。
(出典:厚生労働省 – 建設業における職長等及び安全衛生責任者の再教育)
まとめ
本記事では、以下の内容について解説しました。
- 職長という職務に就くための条件
- 職長・安全衛生責任者教育カリキュラム
職長という職務に就くためには、労働安全衛生法で定める安全衛生教育を受けることが義務付けられています。(労働安全衛生法第60条)
教育時間の合計は14時間で、2日間かけて受講することになります。
建設業では、職長が安全衛生責任者に選任されることが多いため、厚生労働省は「職長教育」と「安全衛生責任者教育」を統合した「職長・安全衛生責任者教育」の実施を推進しています。
初任時及び概ね5年ごと又は機械設備等に大きな変更があったときに、能力向上教育に準じた教育(以下「再教育」という。)を受けさせるよう求めています 。
下請業者を使う元請業者は、現場に入る職長や安全衛生責任者が初任時の教育や再教育を受けているか、確認しようね。
安全管理については以下の記事で安全教育に関する役立ちサイトをまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね。
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