土質を調べる方法って、どんなのがあるの?それぞれの試験が何の目的で、何の役に立つのか知りたいな。
こんな疑問に答えます。
土木工事で土質調査といえば、数えきれないほどの調査方法があって、難しいですよね。
そもそも、どんな調査方法があるのか知っていないと、調べることもできません。
でも、土木工事の施工管理として行う土質調査の種類は少ないので、名称・調査でわかる項目・調査結果の利用方法だけ知っておけば大丈夫です。
土木工事の施工には、地盤や土材料の調査が欠かせません。
本記事では、土木工事で行う土質調査の種類と調査結果が何に利用されるかについて詳しく解説します。
建設現場で、どんな状況で・どんな土質調査をやればいいか、詳しく解説するよ!
本記事は『土木施工管理の「なぜ?」がわかるQ&A – ㈱オーム社』『わかりやすい土木施工管理の実務 – ㈱オーム社』『図解入門 土木技術者のための土木施工管理の基礎 – ㈱秀和システム』を参考に、歴16年以上の土木施工管理を経験している現役の現場監督(サイト運営者)の実務経験を補足し、作成しました。
土質調査は現地の土質に適した施工方法・品質を判定するために必要
土質調査とは、現場の地盤の状態や土の工学的性質を調べるために行う調査で、原位置試験・土質試験の2つに分けられます。
現地で直接調べる『原位置試験』から、設計・施工に必要な土の情報を。
採取した土試料を調べる『土質試験』から、土の性質や特性などを判定します。
地盤を構成している土は、多種多様で地域・地形によって異なります。
この土の性質を調べる調査を土質調査と言います。
土質調査は、建設工事等の設計・施工に関連して土の性質を主として原位置で知るために行う調査のことで、室内で行われる土質試験とは区分されます。
すなわち地盤調査は、ある目的の工事に対してその場所の適正を判断し、合理的で経済的な設計施工ができるように行うものです。
『原位置試験』の調査結果は設計・施工に利用される
土質調査のうち、『原位置試験』は何のためにやるの?試験した結果は何に使うの?
『原位置試験』は土が自然の状態での性質を調べることで、調査結果を設計や施工に利用します。
現場で直接、機械・器具を使って調査する方法です。
原位置試験にどんな試験があるかは、以下の表を参考にしてくださいね。
分類 | 試験の名称 | 試験結果からわかるもの | 試験結果の利用方法 |
サウンディング試験 | 標準貫入試験※ (JIS A 1219) | N値(打撃回数) | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | スウェーデン式サウンディング試験(JIS A 1221) | 静的貫入荷重 Wsw 半回転数 Nsw | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | オランダ式二重管コーン貫入試験※ | コーン指数 qc (平均抵抗値÷コーン断面積) | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | ポータブルコーン貫入試験※ | コーン指数 qc (平均抵抗値÷コーン断面積) | トラフィカビリティの判定(建設機械・車両の走行性) |
〃 | ベーン試験※ | 粘着力 c | 細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算 |
物理探査試験 | 弾性波探査 | 地盤の弾性波速度 V | 土の硬軟 締まり具合の判定 基礎工の検討 |
現場透水(揚水)試験 | オランダ式コーン貫入試験※ | コーン指数 qc | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | 電気探査 | 地盤の比抵抗値 ρ | 地層や地下水の状態の推定 |
〃 | 現場透水試験 | 透水係数 k | 透水関係の設計計算 地盤改良工法の設計 |
〃 | 現場密度試験 (単位体積質量試験) | 湿潤密度 ρ(t) 乾燥密度 ρ(d) | 締固めの施工管理 |
載荷試験 | 平板載荷試験(JIS A 1215) | 地盤反力係数 K値 | 締固めの施工管理 |
〃 | 現場CBR試験(JIS A 1222) | CBR値(支持力値) | 締固めの施工管理 |
下記の表の※印、原位置試験のうちサウンディングは、ボーリング孔に埋設したサンプラー(土試料採取用の管やベーン)を地中に貫入・回転・圧入・引抜きなどの力を加えた際の土の抵抗から、地層や地盤の強さを推定する試験を言います。
標準貫入試験(ボーリング調査)
標準貫入試験は、一定の方法で土中にサンプラーを打ち込むときの抵抗。
つまり、ある貫入量に対する打撃回数から、ボーリング孔の各深さの土の相対密度や地盤の支持力を推定する試験です。
質量 65.3kgのハンマを75cmの高さから自由落下させ、サンプラーを30cm貫入させるのに要する打撃回数N (N値) を測定します。
一般に、砂質土は粘性土よりN値が高いです。
沖積層のN値は砂質土で5~20程度、粘性土で0〜5程度となっています。
砂の中に粘性土が混ざったり、粘性土の中に砂が混入すればN値は変化し、その量によって変化の度合いは異なります。
試験結果は以下のことに利用します。
- 土の硬軟
- 締まり具合の判定
- 基礎工の検討
スウェーデン式サウンディング試験
静的荷重による貫入と回転貫入を併用してロッド先端のスクリューポイントを地盤に貫入させ、地盤の硬軟・締まり具合を判定します。
試験結果は以下のことに利用します。
- 土の硬軟
- 締まり具合の判定
- 基礎工の検討
ポータブルコーン貫入試験
建設機械や車両の走行性(トラフィカビリティー)の判定に用いられ、土のせん断強さを判定します。
コーンペネトロメーターという貫入試験機を使うことから、コンペネ試験とも呼ばれます。
試験結果は以下のことに利用します。
- トラフィカビリティの判定
建設現場でのポータブルコーン貫入試験の実施例
ダンプトラックのトラフィカビリティ(走破性)確認のために試験を行う
タイヤがはまるほどになってしまうと、工事になりません。
そこで、工事車両の走行路で3箇所を目安にポータブルコーン貫入試験を行い、コーン指数を確認します。
以下の表を参考にすると、ダンプトラックの走行に必要なコーン指数は1,200kN/m2です。
3箇所で測定したポータブルコーン貫入試験の平均値が1,200kN/m2より低い値であれば、走行路は敷鉄板か敷砂利といった措置をした方が良いですね。
公共工事の場合、この試験結果を発注者と協議か報告して、敷鉄板・敷砂利の費用を設計変更してもらうことになるよ。
ベーン試験
十字型の羽根 (ベーン) をロッド先端に取り付けロッドを回転するときの抵抗により、せん断強さと粘着力を求めます。
試験結果は以下のことに利用します。
- 細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算
弾性波探査試験
地中を伝番する弾性波速度は、硬質地盤ほど速く、軟弱地盤では遅くなります。
これを基に、弾性波速度で地層の種類や成層状態を推定します。
平板載荷試験
平板載荷試験は、原位置地盤に剛な載荷板を通じて荷重を加え、この荷重の大きさと載荷板の沈下の関係から、載荷面より載荷板幅の1.5~2倍程度の深さまでの地盤について、その変形強さ等の支持特性を調べるために行う試験です。
地耐力試験とも呼ばれています。
この試験は比較的簡単で、基礎の支持地盤の種類にかかわらず、直接試験ができます。
しかも地盤上の載荷板に荷重を加えることが、構造物基礎の模型に対比できる等の利点があります。
特に道路の路床、路盤等の地盤係数を求める試験方法については、JIS A 1215-1993「道路の平板載荷試験方法」として規定され ています。
標準的な試験方法は、直径30cmの円形の荷板を用い、これに段階的に荷重を作用させて、 平板の沈下量を計測するものです (図4.13)。
地盤係数は、ある荷重強さにおける荷重板の沈下量で、そのときの荷重強さを割った値により求められます。
オランダ式コーン貫入試験
オランダ式コーン貫入試験は、ロッドの先端に先端角60°、底面積10cmの円鍵を取り付け、貫入するときの周面の摩擦を避けるために、ロッドを二重管式の構造にしたものです (図4.15)。
この試験機による地盤の調査では、円錐の部分を1cm/sの速度で外管の下端から10~15cmだけ押し込んで、円錐だけの貫入抵抗をロッド上端で測定します。
この測定を深度50cmごとに反復実施します。
この方法に類似した円錐貫入試験は種々の構造、機能のものが考案されています。
また、貫入も静的な圧力によらず、ドロップハンマの衝撃によって動的に行うものもあります。
スウェーデン式サウンディング試験
スウェーデン式貫入試験は、スクリューポイントをロッドの先に取り付けた後に5~100kgの荷重をかけて、試験機の土中への貫入抵抗を測定し、さらに荷重をかけたままスクリューを回転させて一定回転数における貫入量を測定して、地表からの深さとその位置における貫入抵抗を調べる試験です。
この方法は装置(図4.16) も操作も簡単であり、20~30mの深さまで調査できます。
また、これは砂地盤にも粘土地盤にも適用でき、相対的な強度の概略値を知ることができます。
ベーンせん断試験
現場せん断試験の中で、最も一般的な試験はベーンせん断試験です。
ベーンせん断試験は、比較的軟弱な粘土質の試料で、乱さない試料の採取が困難なような場合。
また乱さない試料を採取しても、その試料を用いて三軸圧縮試験や一軸圧縮試験を実施することが困難なほど軟弱な場合、直接地盤についてせん断強さを求めるために行われます。
ベーン試験機は十字状に取り付けた4枚の矩形の羽を土中に押し込み、ロッド頂部からトルクを与えて毎分1°の割合で回転させます。
このときのトルクから土のせん断強さを求めます。
弾性波探査試験
弾性波探査試験は、地下の弾性波 (P波、S波) 速度とその構造を求める調査です。
調査結果から、地質構造や地表の力学的性質を推定するほか、地震時における地盤の挙動の算出等に利用されます。
十字型の羽根 (ベーン) をロッド先端に取り付けロッドを回転するときの抵抗により、せん断強さと粘着力を求めます。
試験結果は以下のことに利用します。
- 細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算
現場密度試験
ジョウ所長の土木技術者サポートチャンネル – 現場密度試験とは【砂置換法のやり方】【かんたんに解説!】
現場密度試験は、盛土工事の現場で必ず実施する試験です。
試験は主に砂置換法と突砂法があり、試験する試料の最大粒径によって方法が分けられます。
- 砂置換法 最大粒径53mm以下 例:粒度調整砕石・RC-40など
- 突砂法 最大粒径53mm以上 例:山土砂・流用土など
発注者に試験は砂置換法と突砂法どっちでやるのか聞かれることもあるから、覚えておこうね。
『土質試験(室内試験)』で土の性質・特性などを判定
採取した土試料を調べる『土質試験』から、土の性質や特性などを判定します。
建設現場では、購入土・現地流用土ともに、盛土工事を行うための土材料は現地で採取して土質試験を行います。
土質試験(室内試験)にどんな試験があるかは、以下の表を参考にしてくださいね。
試験の目的 | 試験の種類 | 細分 | 試験結果からわかるもの |
土の判定分類 のための試験 | 含水比の測定 | ― | 含水比w |
〃 | 湿潤密度や乾燥密度の測定 | ― | 湿潤密度 p(t) 乾燥密度 p(d) |
〃 | 土粒子密度の測定 | ― | 土粒子の密度 p(s) 間げき比 e 飽和度 Sr 空気間げき率 va |
〃 | 相対密度の測定 | ― | 最大間げき比 e(max) 相対密度 Dr |
〃 | 粒度試験 | ― | 粒径加積曲線 |
〃 | 〃 | ふるい分析 | 有効径 D10 |
〃 | 〃 | 沈降分析 | 均等係数 Uc |
〃 | コンシステンシー試験 | 液性限界の測定 | 液性限界 w(L) |
〃 | 〃 | 塑性限界の測定 | 塑性限界 w(p) 塑性指数 I(p) |
土の工学的性質 を求める試験 | せん断試験 | 一面せん断試験 | せん断抵抗角Φ 粘着力 c |
〃 | 〃 | 一軸圧縮試験 | 一軸圧縮強さ q(u) 粘着力 c 鋭敏比 S(i) |
〃 | 〃 | 三軸圧縮試験 | せん断抵抗角Φ 粘着力 C |
〃 | 圧密試験 | ― | e-log 曲線 圧縮係数 a (v) 体積圧縮係数m (v) 圧縮指数 Cc 透水係数 K 圧密係数(v) |
〃 | 透水試験 | ― | 透水係数 K |
〃 | 締固め試験 | ― | 含水比 – 乾燥密度曲線 最大乾燥密度 ρ(d)max 最適含水比 w(opt) |
〃 | CBR試験 (室内) | ― | 支持力值 |
含水比の測定
盛土工事の品質を確保するためには、含水比を把握することが大切です。
国土交通省北陸地方整備局の共通仕様書によれば、河川土工の土の含水比試験の試験時期・頻度は「当初及び土質の変化した時」と記載されています。
盛土材料の含水比は、晴れたり雨が降ったりすることで毎日変化します。
そのため、品質を確保した施工には、盛土作業日ごとに盛土材料の含水比を測定する必要があります。
どうやって現場で含水比を測定するの?
電子レンジを使って、土の自然の状態の重量と、乾かした後の重量の差から含水比を調べる方法が簡単だよ。
まとめ
本記事では土木工事で行う土質調査の種類と調査結果が何に利用されるかについて解説しました。
『原位置試験』は土が自然の状態での性質を調べることで、調査結果を設計や施工に利用します。
現場で直接、機械・器具を使って調査する方法です。
原位置試験にどんな試験があるかは、以下の表を参考にしてくださいね。
分類 | 試験の名称 | 試験結果からわかるもの | 試験結果の利用方法 |
サウンディング試験 | 標準貫入試験※ (JIS A 1219) | N値(打撃回数) | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | スウェーデン式サウンディング試験(JIS A 1221) | 静的貫入荷重 Wsw 半回転数 Nsw | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | オランダ式二重管コーン貫入試験※ | コーン指数 qc (平均抵抗値÷コーン断面積) | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | ポータブルコーン貫入試験※ | コーン指数 qc (平均抵抗値÷コーン断面積) | トラフィカビリティの判定(建設機械・車両の走行性) |
〃 | ベーン試験※ | 粘着力 c | 細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算 |
物理探査試験 | 弾性波探査 | 地盤の弾性波速度 V | 土の硬軟 締まり具合の判定 基礎工の検討 |
現場透水(揚水)試験 | オランダ式コーン貫入試験※ | コーン指数 qc | 土の硬軟 締まり具合の判定 |
〃 | 電気探査 | 地盤の比抵抗値 ρ | 地層や地下水の状態の推定 |
〃 | 現場透水試験 | 透水係数 k | 透水関係の設計計算 地盤改良工法の設計 |
〃 | 現場密度試験 (単位体積質量試験) | 湿潤密度 ρ(t) 乾燥密度 ρ(d) | 締固めの施工管理 |
載荷試験 | 平板載荷試験(JIS A 1215) | 地盤反力係数 K値 | 締固めの施工管理 |
〃 | 現場CBR試験(JIS A 1222) | CBR値(支持力値) | 締固めの施工管理 |
下記の表の※印、原位置試験のうちサウンディングは、ボーリング孔に埋設したサンプラー(土試料採取用の管やベーン)を地中に貫入・回転・圧入・引抜きなどの力を加えた際の土の抵抗から、地層や地盤の強さを推定する試験を言います。
採取した土試料を調べる『土質試験』から、土の性質や特性などを判定します。
建設現場では、購入土・現地流用土ともに、盛土工事を行うための土材料は現地で採取して土質試験を行います。
土質試験(室内試験)にどんな試験があるかは、以下の表を参考にしてくださいね。
試験の目的 | 試験の種類 | 細分 | 試験結果からわかるもの |
土の判定分類 のための試験 | 含水比の測定 | ― | 含水比w |
〃 | 湿潤密度や乾燥密度の測定 | ― | 湿潤密度 p(t) 乾燥密度 p(d) |
〃 | 土粒子密度の測定 | ― | 土粒子の密度 p(s) 間げき比 e 飽和度 Sr 空気間げき率 va |
〃 | 相対密度の測定 | ― | 最大間げき比 e(max) 相対密度 Dr |
〃 | 粒度試験 | ― | 粒径加積曲線 |
〃 | 〃 | ふるい分析 | 有効径 D10 |
〃 | 〃 | 沈降分析 | 均等係数 Uc |
〃 | コンシステンシー試験 | 液性限界の測定 | 液性限界 w(L) |
〃 | 〃 | 塑性限界の測定 | 塑性限界 w(p) 塑性指数 I(p) |
土の工学的性質 を求める試験 | せん断試験 | 一面せん断試験 | せん断抵抗角Φ 粘着力 c |
〃 | 〃 | 一軸圧縮試験 | 一軸圧縮強さ q(u) 粘着力 c 鋭敏比 S(i) |
〃 | 〃 | 三軸圧縮試験 | せん断抵抗角Φ 粘着力 C |
〃 | 圧密試験 | ― | e-log 曲線 圧縮係数 a (v) 体積圧縮係数m (v) 圧縮指数 Cc 透水係数 K 圧密係数(v) |
〃 | 透水試験 | ― | 透水係数 K |
〃 | 締固め試験 | ― | 含水比 – 乾燥密度曲線 最大乾燥密度 ρ(d)max 最適含水比 w(opt) |
〃 | CBR試験 (室内) | ― | 支持力值 |
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