掘削作業時の地山の種類・掘削高さ・法勾配の関係を徹底解説

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現場監督

地山の掘削をやるんだけど、掘削した後に法面が崩れないよう法勾配を決めておきたいんだ。
レキ質土なら勾配がきつくない限り法面崩れは無さそうだけど、砂質土とかだったら法勾配を緩くしないといけないよね。
土質によって法勾配って決まってたりするの?

こんな疑問に答えます。

地山の掘削作業を安全に施工するためには、計画・設計の段階で決定する法面の勾配が最も重要な事項になります。

地形・地質に応じて、掘削中及び法面整形後の崩壊が起きないよう、安全な勾配とする必要があります。

掘削箇所の安全な法面勾配を確保するため、厚生労働省(労働安全衛生規則)や発注機関(国・都道府県など)より、掘削箇所地山の種類・掘削高さごとに法勾配の基準が定められています。

本記事では、以下の内容について解説します。

  • 労働安全衛生規則で定められている、地山の種類ごとの『掘削高さ』と『法勾配』
  • 発注機関で定められている、地山の種類ごとの『掘削高さ』と『法勾配』
ランメイシ

官庁工事では発注機関が定めた基準に従うと良いよ。発注機関に定めが無いとか、民間工事だったら労働安全衛生法の基準に従えば、間違いないね。

この記事を書いた人
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当サイト『ゲンプラ』の運営者:ランメイシ

現場監督と家庭(プライベート)の両立を応援するために、土木工事の施工管理をやっている現役の現場監督(歴16年)が当サイトを運営。施工管理業務の悩みに全力でサポートします!ご安全に!

保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士

主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事

プロフィール詳細/現場の事故がきっかけで最悪な状況になった時の体験談

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目次

厚生労働省・労働安全衛生規則(第356条及び第357条)

労働安全衛生規則(第356条及び第357条)で定める、地山の種類と掘削高さ・法勾配は以下の通りです。

地山の種類掘削面の高さ掘削面の勾配
岩盤又は軽い粘土からなる地山5m未満90°
岩盤又は軽い粘土からなる地山5m未満75°
その他の地山5m以上75°
その他の地山2m未満75°
その他の地山2~5m未満75°
砂からなる地山5m以上35°以下
発破等により崩壊しやすい状態の地山5m未満45°以下

労働安全衛生規則

(掘削面のこう配の基準)第356条
事業者は、手掘り(パワー・シヨベル、トラクター・シヨベル等の掘削機械を用いないで行なう掘削の方法をいう。以下次条において同じ。)により地山(崩壊又は岩石の落下の原因となるき裂がない岩盤からなる地山、砂からなる地山及び発破等により崩壊しやすい状態になつている地山を除く。以下この条において同じ。)の掘削の作業を行なうときは、掘削面(掘削面に奥行きが二メートル以上の水平な段があるときは、当該段により区切られるそれぞれの掘削面をいう。以下同じ。)のこう配を、次の表の上欄に掲げる地山の種類及び同表の中欄に掲げる掘削面の高さに応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下としなければならない。

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2 前項の場合において、掘削面に傾斜の異なる部分があるため、そのこう配が算定できないときは、当該掘削面について、同項の基準に従い、それよりも崩壊の危険が大きくないように当該各部分の傾斜を保持しなければならない。


第357条 

事業者は、手掘りにより砂からなる地山又は発破等により崩壊しやすい状態になつている地山の掘削の作業を行なうときは、次に定めるところによらなければならない。
一 砂からなる地山にあつては、掘削面のこう配を三十五度以下とし、又は掘削面の高さを五メートル未満とすること。
二 発破等により崩壊しやすい状態になつている地山にあつては、掘削面のこう配を四十五度以下とし、又は掘削面の高さを二メートル未満とすること。
2 前条第二項の規定は、前項の地山の掘削面に傾斜の異なる部分があるため、そのこう配が算定できない場合について、準用する。

(出典:E-GOV法令検索 – 労働安全衛生規則

設計要領(道路編)国土交通省北陸地方整備局

国土交通省北陸地方整備局で定める、地山の種類と掘削高さ・法勾配は以下の通りです。

設計要領(道路編)国土交通省北陸地方整備局

掘削(切土)のり面勾配は,地山の土質及び地質の種類,状態,高さに応じて表3.6を標準とする。ただし,特殊条件の箇所では,地質調査等を行って安定を確保し得るのり面勾配を決定する。

(出典:設計要領(道路編)国土交通省北陸地方整備局

数量算出要領と現場施工の法勾配が異なるときは注意

数量算出要領と現場施工の法勾配が異なるときは注意が必要です。

例えば、設計では地山の土質が『レキ質土』で、掘削高さが2mのため法勾配は『1:0.5』です。

それに対して、実際には現地の地山は『砂』だったから法勾配は『1:1.5』にする必要があり、土砂の掘削量も設計より増えてしまいました。

こんな場合、工事打合せ簿の協議事項として発注者と設計変更の対象にしてもらわないと、設計分の掘削土量しか清算してもらえません。

ランメイシ

発注機関によっては実施工数量に合わせて生産してくれるところもあるけれど、事前に確認が必要だよ。

ちなみに、国土交通省の数量算出要領は国土技術政策総合研究所で確認することができます。

国土技術政策総合研究所 – 土木工事数量算出要領・数量集計表

(出典:国土技術政策総合研究所 – 土木工事数量算出要領・数量集計表

各発注機関の掘削における法勾配の基準が掲載されている仕様書のリンク集

国土交通省 東北地方整備局(設計施工マニュアル)

国土交通省東北地方整備局 – 設計施工マニュアル

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(出典:国土交通省東北地方整備局- 設計施工マニュアル

国土交通省 中部地方整備局(道路設計要領)

国土交通省中部地方整備局 – 道路設計要領

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(出典:国土交通省中部地方整備局 – 道路設計要領

国土交通省 北陸地方整備局(設計要領道路編)

国土交通省北陸地方整備局 – 設計要領(道路編)

(出典:国土交通省北陸地方整備局 – 設計要領(道路編)

国土交通省 近畿地方整備局(設計便覧第2章土工)

国土交通省近畿地方整備局(設計便覧 第2章 土工)

(出典:国土交通省近畿地方整備局(設計便覧 第2章 土工)

国土交通省 中国地方整備局(土木工事設計マニュアル 第3編 道路編)

国土交通省 中国地方整備局(土木工事設計マニュアル 第3編 道路編)

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(出典:国土交通省 中国地方整備局(土木工事設計マニュアル 第3編 道路編)

国土交通省 四国地方整備局(設計便覧 道路編)

設計便覧(道路編)【平成30年7月版】ダウンロードページへ

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