【建設業】災害防止協議会の果たす役割と運営上のポイント【設置・運営は法令の定め】
災防協って月に1回、下請業者を呼んでやらないといけないみたいだけど、必要なの?開催するうえで大切なことって何?
こんな疑問に答えます。
特定元方事業者は、建設現場の安全衛生を統括管理するため、全ての関係請負人が参加する協議組織を設置し、災害防止のための協議を定期的に開催しなければなりません。
災害防止協議会の設置・運営は、『安衛法第30条』と『安衛則第635条』で定められています。
労働安全衛生法 第30条
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
1.協議組織の設置及び運営を行うこと
2.作業間の連絡および調整を行うこと
3.作業場所を巡視すること
4.関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を
行うこと
5.仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で、厚生労働省令で
定めるものに属する事業を行う特定元方事業者にあっては、仕事の工程に関する
計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、
当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人がこの法律又はこれに基づく
命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導を行うこと
(出典:E-GOV法令検索)
労働安全衛生規則(協議組織の設置及び運営) 第635条
特定元方事業者は、法第三十条第一項第一号の協議組織の設置及び運営については、
次に定めるところによらなければならない
1. 特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織を設置すること
2.当該協議組織の会議を定期的に開催すること
関係請負人は、前項の規定により特定元方事業者が設置する協議組織に参加しなけ
ればならない
(出典:E-GOV法令検索)
本記事では、法令で設置・運営の定められている災害防止協議会について解説します。
当サイト『ゲンプラ』の運営者:ランメイシ
現場監督と家庭(プライベート)の両立を応援するために、土木工事の施工管理をやっている現役の現場監督(歴16年)が当サイトを運営。施工管理業務の悩みに全力でサポートします!ご安全に!
保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士
主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事
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災害防止協議会は月に1回以上の開催が必要
災害防止協議会は規約を作成して運営し、少なくとも月に1回以上は協議のための会議を定期的に開催することが必要です。
なぜなら、安衛法第30条、 安衛則第635条に災害防止協議会の開催が定められているからです。
災害防止協議会の運営方法・やること
災害防止協議会の運営方法について、表でまとめると以下の通りです。
いつ | 月1回定期的に実施 |
どこで | 現場事務所 (会議室) 等 |
誰が | 協議会の構成員は以下の通り 【元請】 作業所長(統括安全衛生責任者) 元方安全衛生管理者 関係職員 安全当番 【下請】 安全衛生責任者 職長 関係請負人の店社の関係者 現場責任者 【その他】 必要に応じ元請関係者 施主関係者 設計事務所担当者 |
何を | 作業計画 (工程計画)に基づく、月間工程の説明、工程に伴う安全衛生上の注意事項、 各職種間の連絡調整事項、 施主や諸官庁からの指示事項等を中心に協議する (協議により工事の進捗状況、相互の作業内容等を話し合い、協力して安全の 確保に努める内容) |
どのように | 協議会会則を定める ①会長は、作業所長 (統括安全衛生責任者) が担当 ② 副会長委員等は、会則で決める ③ 協議会の構成員、協議事項、協議会の開催頻度等を定めた規約とする |
何のために | 同一作業現場で作業する各職種の混在作業から生ずる諸問題を連絡・調整し、 労働災害の未然防止と施工の円滑な推進を図るために行う 〔各年度初めに取り上げるべき協議事項(参考)〕 ① 安全衛生管理の基本方針、安全衛生目標その他基本的な労働災害防止対策を 定めた安全衛生計画 ② 機械設備の配置計画 ③ 機械設備の使用時の作業方法 ④ 労働者の危険性・有害性等の調査(リスクアセスメント)と防止のための対策 ⑤ 安全衛生に関する規程 ⑥ 安全衛生教育の実施計画 ⑦ 合図、標識、集積箇所、警報、避難訓練の実施方法の統一等 |
災害防止協議会の留意事項
災害防止協議会の留意事項は以下の通りです。
- 協議会は、安衛法第30条に基づき特定事業者が設置・運営する
- 元請及び関係請負人の労働者が50人以上の場合は、特定元万事業者の作業所長が統括安全衛生責任者となって、協議会を統括管理する
- 協議会における主要な協議事項は、作業所長(統括安全衛生責任者又は元方安全衛生管理者) から週間、月間の工程説明、工程に伴う安全衛生上の注意事項についての說明
災害防止協議会は、安衛法第30条に基づき特定事業者が設置、運営するものです。
なお、元請及び関係請負人の労働者が50人以上の場合は、特定元万事業者の作業所長が統括安全衛生責任者となって、協議会を統括管理します。
協議会における主要な協議事項
災害協議会における主な協議事項は、以下の通りです。
- 作業所長(統括安全衛生責任者又は元方安全衛生管理者) から週間、月間の工程説明、 工程に伴う安全衛生上の注意事項についての説明
- 発注者、関係諸官庁からの指示、指導事項についての説明・検討
- 各職種別担当者への作業内容の説明
- 各職種間での作業調整の検討
- 毎日の安全衛生点検による問題点等の検討
- 発生した災害の原因調査と対策の検討
- 各職種からの提案事項の討議
- 各職種の最終調整のまとめ
- 各職種の作業主任者、作業員への周知徹底事項
- 必要により安全衛生パトロール の実施日の検討
- 地域の関係者との問題があれば、その検討
- 決定、討議事項の記録と確認
- 次回の開催日の打合せと提案事項の要請
- 報告、討議事項の有無の確認
協議会における討議結果等
協議会における討議結果等については、以下の通りです。
- 指示、要請事項等は、対策、 計画等を検討して措置するとともに、統括安全衛生責任者等に対する報告と記録を保存する
- 欠席した関係請負業者については、速やかに協議会記録を交付して、協議結果の周知徹底を図る
その他、留意すべき事項
その他、留意すべき事項は以下の通りです。
- 元請、下請業者ともに記録及びその保存に留意すること
- 協議会メンバーによる安全衛生パトロールを適宜実施すること
まとめ
特定元方事業者は、建設現場の安全衛生を統括管理するため、全ての関係請負人が参加する協議組織を設置しなければいけません。
また、災害防止のための協議会を定期的に開催しなければなりません (安衛法第30条、 安衛則第635条)。
多くの建設現場においては、工事の進捗に伴って作業内容や現場内の形が変化しますよね。
つまり、作業に関わる関係請負人が変わっていくだけではなく、労働災害防止のためのポイントも工事の進捗と共に変化します。
協議会では規約を作成して運営し、少なくとも月に1回以上は協議のための会議を定期的に開催することが必要です。
現場で毎月やっている災防協は、法令で設置・運営することが義務付けられているんだよ。
協議会には、施工中及び翌月入場する全ての下請の安全衛生責任者等の出席を求めましょう。
元方事業者の統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者等が中心となって運営する必要があります。
しかし、店社段階での高度な技術的検討が必要な事項や、関係請負人の安全衛生責任者では判断が難しい事項等も議題として考えられます。
少なくとも、混在作業に伴う労働災害の防止上重要な工程に着手する時期等を考慮して、工程の節目ごとに元請店社の安全衛生管理の責任者の出席を求める。
安全衛生上の必要な指導を受けたり、下請の店社の事業者等の責任者にも出席を求め、現場での作業にかかわる安全衛生問題についての指導事項の確認をします。
工事を進めるうえでの問題が起きたら、社内の上司や安全担当、類似工事経験者などを巻き込んで相談しようってことだね。
協議会では工事の進捗状況に応じて適切な議題を取り上げ、特に作業間の連絡調整事項は入念に協議しましょう。
作業過程で実施する事項を明確に申し合わせるとともに協議会に出席する者には、あらかじめ作業場所の安全衛生点検を行ってもらうのが良いですね。
その結果を基に協議し、協議会全体の労働災害防止対策をまとめるようにします。
災害防止協議会の運営方法について、表でまとめると以下の通りです。
いつ | 月1回定期的に実施 |
どこで | 現場事務所 (会議室) 等 |
誰が | 協議会の構成員は以下の通り 【元請】 作業所長(統括安全衛生責任者) 元方安全衛生管理者 関係職員 安全当番 【下請】 安全衛生責任者 職長 関係請負人の店社の関係者 現場責任者 【その他】 必要に応じ元請関係者 施主関係者 設計事務所担当者 |
何を | 作業計画 (工程計画)に基づく、月間工程の説明、工程に伴う安全衛生上の注意事項、 各職種間の連絡調整事項、 施主や諸官庁からの指示事項等を中心に協議する (協議により工事の進捗状況、相互の作業内容等を話し合い、協力して安全の 確保に努める内容) |
どのように | 協議会会則を定める ①会長は、作業所長 (統括安全衛生責任者) が担当 ② 副会長委員等は、会則で決める ③ 協議会の構成員、協議事項、協議会の開催頻度等を定めた規約とする |
何のために | 同一作業現場で作業する各職種の混在作業から生ずる諸問題を連絡・調整し、 労働災害の未然防止と施工の円滑な推進を図るために行う 〔各年度初めに取り上げるべき協議事項(参考)〕 ① 安全衛生管理の基本方針、安全衛生目標その他基本的な労働災害防止対策を 定めた安全衛生計画 ② 機械設備の配置計画 ③ 機械設備の使用時の作業方法 ④ 労働者の危険性・有害性等の調査(リスクアセスメント)と防止のための対策 ⑤ 安全衛生に関する規程 ⑥ 安全衛生教育の実施計画 ⑦ 合図、標識、集積箇所、警報、避難訓練の実施方法の統一等 |
協議会の議事で重要なものについては、議事録として記録に残します。
これを出席者等関係者に配布し、特に発注者の指示事項や労働基準監督署からの指導事項又は元方事業者の巡視結果等安全作業上の必要な事項は、関係作業者にも朝礼等で周知します。
完成検査(竣工検査)の時の災防協に関する書類検査内容
当サイト運営者が官庁工事の完成検査や施工プロセスチェックの際、聞かれたことがある事項を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてくださいね。
- 災害防止協議会は月1回実施しているか
- 欠席した下請業者への通知・報告を適切に行っているか
- 全ての下請業者が参加しているか
- 議事録の内容確認
- 協議会として安全パトロールを行い、パトロール結果の記録があるか
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