生コンクリート打設は材料分離を抑える!品質の良いコンクリートの施工方法を解説

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コンクリートはセメント、細骨材、粗骨材、水など、異なる材料で構成されています。

そのため、運搬や打ち込みなどの一連の作業中に、コンクリートを構成する材料が分離しやすくなります。

材料分離を抑えることが打ち込みの要点です。

材料分離とは、コンクリートを構成する材料の分布が均一でなくなる現象を指します。

たとえば、粗骨材が局所的に集中したり、水分がコンクリートの上部に向かって上昇したり、粗骨材が下部に沈んだりする現象です。

コンクリートを高い場所から落とすと、粒径の大きい粗骨材ほど分離しやすくなります。

下の図のようにシュートを使用してコンクリートを運搬すると、粒径の大きい粗骨材がモルタルよりも先に落ちて分離し、モルタルの割合が減少します。

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生コンクリートを落下させた場合の材料分離イメージ

そのまま硬化すると、ジャンカ(豆板)などが発生し、外観の問題だけでなく、水密性や耐久性の観点からも問題が生じます。

コンクリート工事における生コン(生コンクリート)の分離という問題について、解決策と重要な情報を提供します。

ランメイシ

本記事では、コンクリート工事における生コンの分離という問題について、解決策とポイントを解説します。

この記事を読むことで、生コンクリートが分離する原因やその影響、そして効果的な対策について理解できるようになります。

この記事を書いた人
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保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士

主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事

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目次

低い位置から垂直に打ち込む

材料の分離を抑えるために、土木学会のコンクリート標準示方書ではコンクリートの自由落下高さを1.5m以下にするように規定し、さらに横移動させないように指示しています。

コンクリートが硬練りだと分離が難しく、軟練りだと分離がしやすい傾向があります。

分離を抑えるためには配合の工夫が必要ですが、それに加え、できるだけ低い位置からコンクリートを打ち込むことが大切です。

例えば、コンクリートを打ち込む際に使用するシュートは簡便な方法ですが、誤った使い方は分離を促進する可能性があるため、注意が必要です。

シュートを使用する場合、斜めになることを避け、縦シュートを基本とし、コンクリートをできるだけ垂直に降ろすように心がけます。

斜めシュートを使わざるを得ない場合でも、急な傾斜では粗骨材が先に落下し、緩い傾斜ではコンクリートの流下が上手くいかない可能性があるため、シュートは丸底で傾斜は2対1が適しています。

沈下ひび割れは必ずつぶす

コンクリートを打ち込んだ後に生じる材料分離の現象も存在します。

コンクリート内で、密度の高いセメント粒子や骨材が下に沈み、逆に、密度の低い水は比較的軽い微細な物質とともに上昇し、コンクリート表面に浮かび上がってきます。

この現象をブリーディングと呼び、浮上する微細な物質をレイタンスと呼びます。

ブリーディングに伴い、コンクリートの表面はわずかに沈降します。

ブリーディングの影響は、コンクリートの表面だけでなく内部にも及びます。

水平に配置された鉄筋や粗骨材の下に水や気泡を形成し、鉄筋とコンクリート、または骨材とセメントベースの接着が弱まります。

上部ほどコンクリートは多孔質となり、水密性も低下します。

レイタンスも除去しないと打ち継ぎの問題を引き起こす可能性があります。

ブリーディングに伴うコンクリートの沈降は、コンクリートを打ち込んだ後の1〜2時間程度に発生します。

この際、下の図のように鉄筋の位置に沿ってコンクリート表面にひび割れが生じることがあります。

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コンクリート天端付近に生じた沈下ひび割れの例

これは沈下ひび割れ沈み亀裂などと呼ばれ、ブリーディングが大きいコンクリートほど発生しやすいです。

このひび割れは一般的に鉄筋に達することが多いため、そのままにしておくと耐久性に影響を及ぼすことがあります。

そのため、ブリーディングが収まりつつある時に、コンクリート表面をコテを使ってたたいてひび割れを修理することが良いです。

ブリーディングは問題を引き起こすこともありますが、同時に表面から水分の急激な蒸発を防ぐ役割も果たします。

したがって、初期ひび割れであるプラスチック収縮ひび割れの発生を防ぐ助けにもなります。

また、適度なブリーディングは表面仕上げの作業を容易にするなど、利点も存在します。

ブリーディングが少ない場合、表面が乾燥しないような対策を検討する必要があります。

ブリーディングを打ち込む途中で調整するのは難しいため、配合の修正を検討することが重要です。

鉄筋や型枠にはぶつけない

コンクリートを打ち込む際、鉄筋や型枠が動かないように十分な注意が必要です。

コンクリートの自由落下距離が大きいと、単なる材料分離だけでなく、落下の衝撃によって設計図に従って配置された鉄筋が移動したり、型枠がズレたり、かぶりを確保するために設置されたスペーサーが外れる危険性が生じます。

特に、幅が狭くて深い型枠にコンクリートを打ち込む場合、これらの問題が発生しやすいです。

ポンプ車を使用する場合、フレキシブルホースを鉄筋の間に挿入し、できるだけ低い位置からコンクリートを打ち込むように心がけるべきです。

ただし、フレキシブルホースの先端はポンプの脈動によって大きく振られることがあるため、排出されるコンクリートが鉄筋や型枠に当たり、分離が生じる可能性がある点にも気を付けなければなりません。

筒先をしっかりと押さえることが重要です。

鉄筋の間隔が狭く、フレキシブルホースを鉄筋の間に挿入できない場合もあります。

その際には、下の図のように、簡易なホッパーやビニールホースを組み合わせたり、フレキシブルホースの先端にビニールホースを緊結して使用する方法があります。

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生コンの材料分離を抑える打ち込み方法の例

要するに、コンクリートをできるだけ低い位置から打ち込み、鉄筋や型枠に直接当たらないように工夫することが不可欠です。

1層の厚さは40~50cmに

比較的広い場所にコンクリートを打ち込む際、一つの場所から打ち込み、後で振動機などでコンクリートを広げることが行われることがあります。

しかし、振動機で広げると、骨材が下に沈んでモルタルと分離する可能性があります。

このような場合、分離の少ない均質なコンクリートを確保するためには、打ち込みポイントを増やし、コンクリートの流れる距離を短くすることが重要です。

打ち込みの間隔はおおよそ3メートル以下が目安です。

たとえば、ポンプを使用する場合、筒先を頻繁に移動させながら、均等な厚さになるようにコンクリートを打ち込むのがコツです。

また、コンクリートの1層を厚くすると、下の部分が振動機で十分に締め固められず、ジャンカなどが発生する危険性が高まります。

したがって、内部振動機を使用する場合、1層の厚さを40〜50cm以下にすることが推奨されます。

どこから打ち込みを始めるかも重要です。

既に打ち込んだコンクリートに影響を与えないように、運搬距離の遠い場所から打ち込みを始め、近い場所で終了することが基本です。

また、中央から打ち込むと隅に粗骨材が集中しやすく、ジャンカが発生する可能性があるため、隅から中央に向かって打ち込むのが良いです。

打ち始めのコンクリートはよく観察し、十分に締め固めるように注意が必要です。

緩い斜面にコンクリートを打ち込む場合は、斜面に沿って下から上に向かって打ち上げます。

上から下に打ち込むと、先に打ち込んだコンクリートにひび割れが生じる可能性があるためです。

支保工上の床版や梁などにコンクリートを打ち込む場合は、中央部から左右へ向かって打つことが一般的です。

中央から始めることで、後で打ち込んだコンクリートが支保工の変形や沈下に影響を与えないようにします。

打ち込み中に分離が発生した場合、粗骨材を取り除き、モルタル部分に埋め込んでしっかりと締め固めることが大切です。

振動機の沈み具合で判断する方法も

1日で多層に分けてコンクリートを打ち込む場合、打ち重ねのタイミングを誤ると、先に打ち込んだコンクリートが硬化し、コールドジョイントが生じる可能性があります。

コールドジョイントを防止するためには、許容される打ち重ね時間内にコンクリートを打ち重ねることが肝要です。

土木学会のコンクリート標準示方書では、外気温が25℃以下の場合は2.5時間以内、25℃を超える場合は2.0時間以内を基準としています。

ただし、許容打ち重ね時間はコンクリートの種類、時間経過、温度などに依存するため、状況に応じて判断する必要があります。

具体的な方法として、先に打ち込んだコンクリートに振動機を入れて自重で沈降するか、鉄筋棒が自重でコンクリート内に一定の長さ貫入できるか、靴で軽く踏んだときに跡が残るかなどが挙げられます。

実際に行ってみて経験を積むことが良いでしょう。

いずれにせよ、コンクリートをできるだけ早く打ち重ねることが非常に重要です。

不測の事態を想定して対策を

コンクリートの打ち込み中に、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。

そのため、トラブルに備えて対策を立てておくことが肝要です。

言い換えれば、危機管理が非常に重要です。

例えば、不測の事態が発生して、生コンクリート車の到着が遅れることが考えられます。

その際、予定の時間内に打ち込みができなくなる恐れがある場合は、打ち込むコンクリートの層を薄くするなど、打ち重ねの時間間隔を短縮する対策を考える必要があります。

また、風の影響を受けたり、強い日差しにさらされる場合は、コンクリートの表面が乾燥しないようにするために、噴霧器を用意したり、ブルーシートを活用したりする段取りをしておくことが重要です。

こうした配慮が、優れたコンクリート構造物を建設するための第一歩となります。

打ち込み作業に関する留意事項は他にもたくさんあります。

ランメイシ

下表のチェック項目を参考に、日常の作業を確認しましょう。

スクロールできます
分類項目 確認事項
打ち込み前打ち込み区画
順序、体制
打ち込み計画通りか
型枠内の清掃打ち込み箇所は清掃されており、異物や余剰水がないか
生コンクリートの発注種類、打ち込み開始時間、数量に間違いないか
打ち込み機器類計画したポンプ車が来ているか
配管径など配管計画通りか
打ち込み中締固め機器振動機の種類、本数、配置場所は計画通りか
予備の振動機の段取りができているか
打ち込み体制打ち込み責任者、受け入れ担当者はいるか
生コン工場との連絡体制生コンの出荷速度の連絡体制はできているか (特に打ち込み終了間際の出荷量の調整)
生コンの異状や出荷の中断など緊急時の連絡体制ができているか
生コンの受け入れ検査注文どおりの生コンが来ているか(納入伝票の確認)
運搬時間は適切か
品質を満足しているか
検査中の生コンを打ち込んでいないか
検査に立ち会っているか
受け入れ検査以外にもホッパーや筒先でコンクリートの状態を確認しているか
打ち込み手順
打ち込み方法
打ち込み手順は計画どおりか
打ち込み位置は計画どおりか
垂直に低い位置から落としているか(落下高さ1.5m以下か、材料分離していないか)
水平に打ち込んでいるか、横流ししていないか
1層の打ち込み高さは40~50cm以下か
打ち重ね時間は適当か
ブリーディング水は処理しているか
生コンの供給と締め固め作業のバランスはよいか (供給過剰になっていないか、待ち時間が長くないか)
型枠支保工、配筋、スペーサーは正しい位置か
雨、風、直射日光に対する養生対策はしているか
照明器具など夜間作業時の準備はできているか
打ち込み後沈みひび割れ沈みひび割れはないか、対処しているか
養生養生は計画通りになされているか
生コンクリート打ち込みに関するチェック項目

まとめ

コンクリートを打ち込む際、様々な注意点とトラブルに備える対策が必要です。

コンクリート工事では、危機管理が非常に重要です。

例えば、生コンクリート車の到着が遅れるなどの不測の事態が発生する可能性があります。

その際には、予定の時間内に打ち込むことが難しい場合でも、打ち込むコンクリートの層を薄くするなどの対策を考えることが大切です。

また、天候の影響も考慮しなければなりません。

強風や直射日光が当たる場合、コンクリートの表面が乾燥することを防ぐために、噴霧器を使ったり、ブルーシートを利用したりする段取りが必要です。

これらの気配りが、高品質なコンクリート構造物を建設するための第一歩と言えます。

さらに、コンクリート工事の過程でコールドジョイントと呼ばれる問題も発生します。

コールドジョイントは、打ち込み作業の層を分けて行う際に、前の層が硬化してしまい、コンクリート層同士がうまく結合しない現象です。

この問題を防ぐためには、許容される打ち重ね時間内にコンクリートを打ち重ねる必要があります。

外気温に応じて、許容時間が異なるため、慎重に判断する必要があります。

そして、コンクリート工事において、打ち込み作業中にトラブルが発生しないようにするための注意事項も多く存在します。

これらの注意事項を確認し、実践することが良いコンクリート工事の成功につながります。

全体を通して、コンクリート工事は計画的な準備と慎重な実施が必要です。

トラブルを事前に予測し、適切な対策を講じることで、高品質なコンクリート構造物を建設することが可能です。

建設現場において、安全性と品質を確保するために、これらのポイントに留意しましょう。

Q&A

コールドジョイントって何ですか?それを防ぐための対策はありますか?

コールドジョイントは、コンクリート工事において、打ち込み作業の層を分けて行った際に、前の層が硬化してしまい、コンクリート層同士がうまく結合しない現象です。防ぐためには、許容される打ち重ね時間内にコンクリートを打ち重ねることが大切です。

コンクリート工事中の天候の影響はどのように対処すべきですか?

強風や直射日光などの天候の影響を受ける場合、コンクリートの表面が乾燥することを防ぐために、噴霧器を使用したり、ブルーシートをかけたりする対策が必要です。

生コンクリートの打ち込み作業中にトラブルが発生した場合、どのような対処をすべきですか?

打ち込み作業中にトラブルが発生した場合、適切な対処が必要です。具体的な対策はトラブルの種類に依存しますが、事前に計画的な対処方法を用意し、勘を養っておくことが重要です。

生コンクリート打設時の打ち重ね時間間隔はどのように決めるべきですか?

打ち重ね時間間隔は外気温に応じて異なります。土木学会のコンクリート標準示方書では、外気温が25℃以下なら2.5時間以内、25℃を超える場合は2.0時間以内を基準としています。ただし、具体的な判断は状況に応じて行う必要があります。

コンクリート工事において、どのような注意事項がありますか?

コンクリート工事における注意事項は多岐にわたります。例えば、コンクリートの層を均等に打ち込むことや、鉄筋や型枠の位置を適切に確保することが挙げられます。建設現場において、これらのポイントに留意しましょう。

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