コンクリート施工の成功法則:強度を決定する養生テクニック

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コンクリートの施工においては、品質や耐久性の確保が養生にかかっています。

施工後、コンクリートは時間とともに変わり、その品質には様々な要因が影響します。冬季の寒冷な気象条件下では水和反応が阻害され、初期凍害のリスクが懸念されます。

そのため、コンクリートに対して保温・給熱養生が欠かせません。

冬季の施工では、低温環境で水和反応が遅くなりがち。

ジェットヒーターや練炭、あるいは蒸気を使ってコンクリートを保温し、水和反応を促進させるのが一般的です。

ただし、温度変化が急激な場合はひび割れのリスクがあるので注意が必要です。

供試体の強度と構造物の実際の強度には差があり、構造物全体の性能を評価することが大切。

養生期間や温度管理も状況に応じて対策を講じる必要があります。

水中養生や封かん養生など、具体的な方法を検討することが品質確保の鍵です。

これらのポイントを考慮し、Q&A形式で解説しています。

養生の重要性や冬季の対策、供試体と実態の関係、温度変化とひび割れの防止法、そして具体的な養生選択肢まで、分かりやすく解説しています。

安全で耐久性のある構造物を築くために、ぜひ本記事を参考にしてくださいね。

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目次

温度変化と乾燥への対応が決め手

コンクリートは、打設後も時間とともに品質が変わります。

適切に養生できるかどうかが、強度や耐久性を確保するうえで重要です。

養生のポイントや強度を予測する方法なども交え、施工段階で把握すべきコンクリートの強度特性や注意点について考えてみましょう。

コンクリート構造物の安全性や耐久性を確保するには、水セメント比や設計基準強度を適切に設定する必要がありますが、初期養生がそれらの性能を大きく左右することに注意しなければなりません。

コンクリート打設後の脱型に関連して、土木学会のコンクリート標準示方書では、強度の規格値として以下の2点を示しています。

1つ目は、型枠や支保工の取り外しに必要なコンクリートの圧縮強度です。

施工時の安全性のほか、構造物の品質や性能を確保する目的で、下の表のように規定しています。

スクロールできます
部材面の種類コンクリートの
圧縮強度
厚い部材の鉛直または鉛直に近い面
傾いた上面
小さいアーチの外面
フーチングの側面3.5N/mm2
薄い部材の鉛直または鉛直に近い面
45度より急な傾きの下面
小さいアーチの内面


はりの側面
5.0N/mm2
橋・建物等のスラブおよびはり
45度より緩い傾きスラブ
はりの底面
スラブ
はりの底面
アーチの内面
14.0N/mm2
型枠および支保工を取り外してよい時期のコンクリート圧縮強度の参考値

例えば、コンクリートを型に流し込んだ後、側面に取り付けた型(型枠)を外すときは、コンクリートが重さや上に積まれる荷物に耐える強さを持つようになるまで、しっかりと時間をかけて成長させます。

施工現場では、これを「養生」と呼んでいます。

つまり、コンクリートがしっかりと固まり、自分の力で立てるようになるまで、時間をかけて大切に育てるんですね。

部材底面の型枠の場合は、上載荷重や自重による曲げ作用に対して抵抗し、部材に不具合が生じないレベルの強度が発現するまで養生する必要があります。

コンクリートが型枠に収まっている間は養生中とみなされます。

2つ目は、激しい気象作用を受けるコンクリートの養生終了時の所要圧縮強度です。

寒中コンクリートの初期凍害を防ぐために、養生温度を5℃以上に保つことを前提とし、養生終了時の圧縮強度を、断面寸法と構造物の露出状態で以下の表の通り規定しています。

スクロールできます
構造物の露出状態断面が薄い場合断面が普通の場合断面が厚い場合
しばしば凍結融解を受ける場合
(次の春までの凍結融解が数10回程度)
15N/mm212N/mm210N/mm2
まれに凍結融解を受ける場合
(次の春までの凍結融解が数回程度)
5N/mm25N/mm25N/mm2
養生温度を5℃以上に保つのを終了するときに必要な圧縮強度の標準

また、コンクリートの温度が急激に低下しないように所要の圧縮強度が発現した後も、2日間は0℃以上に保たなければなりません。

養生日数で管理する

養生の終了時期を強度で決めるのは理にかなった方法ですが、実際には工事の途中で強度を見ながら養生を終えるのは少し複雑です。

だからこそ、強度の出方と養生日数の関係を知っておき、必要な強度に達するまでの日数だけ養生する方法が選ばれています。

セメントが水と反応すると、養生温度を上げると反応が速まり、早く強度が出るんですね。

ランメイシ

逆に、養生温度が低いと、強度の発現が遅くなります。

表の下に書かれているのは、通常のコンクリートの断面の大きさで考えた場合、初期凍害を防ぐために必要な養生日数の目安です。

これは、セメントの種類と養生温度の組み合わせによって示されています。

スクロールできます
5℃以上の温度制御養生を行った後の
次の春までに想定される凍結融解の頻度
養生温度早強ポルトランドセメント(H) 普通ポルトランドセメント(N) 高炉セメントB種(BB)
しばしば凍結融解を受ける場合
(次の春までの凍結融解が数10回程度)
5℃5日9日12日
10℃4日7日9日
まれに凍結融解を受ける場合
(次の春までの凍結融解が数回程度)
5℃3日4日5日
10℃2日3日4日
所要の圧縮強度を得る温度制御養生期間の目安(断面の大きさが普通の場合)

同じセメントについて見てみると、養生温度が高くなれば養生日数が少なくなります。

また、セメントごとに反応性が違うので、同じ養生温度でも必要な養生日数はそれぞれのセメントで異なります。

冬場の給熱養生は乾燥に注意

冬季は温度が低いので水和反応が阻害され、強度の発現が遅れます。

さらに外気温が-5℃程度以下になると、初期凍害を受けて所要の性能が得られない恐れがあります。

このような場合は、水和反応が円滑に進むように保温や給熱による養生を行う必要があります。

給熱養生にはジェットヒーターや蒸気のほか、面積が小さければ投光器や練炭を使うこともあります。

ジェットヒーターは一般的に使われていますが、使用する際は乾燥に注意しなければなりません。

温度を高める効果が大きい半面、熱風を供給することによって乾燥させてしまう恐れがあるからです。

ランメイシ

構造物の表面が乾燥してしまうと、ひび割れが発生するリスクがあります。

床などに散水して、十分な湿潤状態の下で給熱することが重要です。

温度の急変を避ける

保温・給熱養生を行う際には、養生後の温度の下げ方にも注意が必要です。

せっかくきちんと養生して強度が出ても、急に外気にさらせば、ひび割れが発生してしまいます。

トンネル工事やダム監査廊の工事で、仕切り扉を設置して養生しておきながら、所定の日数がたって取り外したときに、外気によってひび割れが入ったという失敗例は多いです。

温度の急変は絶対に避けなければなりません。

供試体と構造体の強度は異なる

供試体の強度は実際の構造物の強度を適切に表しているとは言えません。

土木分野では構造物の規模が比較的大きく、表層部の近傍を除いて大部分のコンクリートが実質的に湿潤状態にあります。

さらに、供用開始までに日数がたって強度の増進が見込まれます。

水中養生の材齢28日における供試体の強度は、封かん養生の材齢91日における供試体の強度に匹敵します。

土木構造物のように部材断面が大きく、外部からの養生が部材の内部まで及ばない条件では、封かん養生と同等の養生がなされていると考えられます。

つまり、標準養生の材齢28日強度は、型枠内に打設したコンクリートの材齢91日以降の強度を代表するものと判断できるでしょう。

まとめ

コンクリートの品質や強度を確保する上で欠かせないのが、適切な養生です。

施工後のコンクリートは時間とともに品質が変わりますが、適切な養生ができるかどうかが強度や耐久性の確保に直結します。

特に冬季では水和反応が阻害され、初期凍害のリスクも懸念されます。

このため、保温・給熱養生が必要とされます。

しかし、養生後の温度の急激な変化はひび割れを引き起こす可能性があり、慎重な管理が求められます。

コンクリートの強度は初期の供試体の強度だけでなく、構造物全体の性能も考慮する必要があります。

供試体の強度は実際の構造物を十分に代表しているわけではないため、構造物の規模や湿潤状態などを考慮して総合的な判断が必要です。

養生期間や温度管理においては、コンクリートの用途や条件に応じて適切な対策を講じることが重要です。

水中養生や封かん養生など、状況に応じた適切な養生方法を選択し、品質を確保する努力が求められます。

最終的には、コンクリートの品質管理においては供試体の強度だけでなく、構造物の実際の性能や条件を踏まえた総合的なアプローチが不可欠です。

プロの視点でコンクリートの施工に臨み、適切な管理と養生を行うことが、安全で耐久性のある構造物を実現する鍵となります。

Q&A

養生の重要性はどのようにコンクリートの品質や耐久性に影響するのでしょうか?

養生は施工後のコンクリートの水和反応を管理し、強度や耐久性に大きな影響を与えます。適切な養生ができるかどうかが、コンクリートの品質を確保する上で不可欠です。

冬季のコンクリート施工において、保温・給熱養生はなぜ必要なのですか?

冬季は温度が低いため水和反応が阻害され、初期凍害のリスクが生じます。保温・給熱養生は水和反応を促進し、適切な強度を確保するために不可欠です。

供試体の強度と実際の構造物の強度にはどのような関係がありますか?

供試体の強度は実際の構造物を十分に代表しているわけではありません。構造物の規模や湿潤状態などを考慮して、総合的な判断が必要です。

養生後の温度変化がひび割れを引き起こす可能性があるとされていますが、なぜですか?

養生後の温度変化がひび割れを引き起こす可能性があるとされていますが、なぜですか?

コンクリートの養生期間や温度管理において、具体的な適切な対策はどのように選択されるべきですか?

養生期間や温度管理は用途や条件により異なります。水中養生や封かん養生など、状況に応じた適切な対策を選択し、品質を確保するための最善の努力が求められます。

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