建設現場の工事安全衛生管理!ポイントを施工管理16年の現役現場監督が解説
現場で安全管理を担当するんだけど、具体的にどんな取り組みをやればいいのか、よくわからないんだ。現場の安全管理のポイントって何?
こんなお悩みに答えます。
作業所で労働安全衛生マネジメントシステムを実施・運用するためには、店社(本社・支店等)で作成した、全社的な労働安全衛生マネジメントシステムと一体的に同マネジメントシステムを作成し、実施・運用する必要があります。
システム文書の多くは、店社において作成されますが、作業所では特に帳票類を作成する際に、受注した工事に対応したシステム文書や帳票類を独自に追加しながら作成する必要があります。
本記事では、作業所において作成すべき文書とマネジメントシステムの実施にあたって、重要となるポイントについて解説します。
当サイト『ゲンプラ』の運営者:ランメイシ
現場監督と家庭(プライベート)の両立を応援するために、土木工事の施工管理をやっている現役の現場監督(歴16年)が当サイトを運営。施工管理業務の悩みに全力でサポートします!ご安全に!
保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士
主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事
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保有資格:1級土木施工管理技士、河川点検士
主な工事経験:河川の築堤・護岸工事、道路工事、橋梁下部工事
工事安全衛生方針の制定
建設業は単品受注生産であり、全く同じ場所・全く同じ条件の工事は無いため、工事現場ごとに工事安全衛生方針を決める必要があります。
前の現場のコピペじゃだめなの?
参考にできる場合もあるけれど、いつも同じだと進歩が無いから工夫はした方が良いよね。
工事安全衛生方針の制定について、具体的には以下の流れで行います。
- 店社の安全衛生方針、安全衛生目標、危険性又は有害性等の調査結果(リスクアセスメント)を反映した安全衛生計画及び施工する工事内容・工期・施工条件等を検討し、作業所の工事安全衛生方針を定める。
- 工事安全衛生方針を工事着工前の店社の施工検討会で検討し、決定する。
- 工事安全衛生方針は文書化し、事務所内等に提示するとともに関係請負人に対し、新規入場時教育等の実施の際に周知する。
危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント) 及び除去・低減対策の作成と実施
リスクアセスメントを行うときのポイントは、現地を見ながら危険性又は有害性等の調査をすることです。
忙しいし、図面とGoogle Earthで現場を確認するのでもいい?
現場に行くことでわかる『気付き』も必ずあるから、必ず現場に行って現地調査しようね。
工事箇所の地盤が軟弱で工事用車両の通行には敷鉄板が必要だとか、図面の現況線と現地に違いがある。
僕は土木の現場監督を16年以上やっているけれど、問題なく本工事に着手できる現場なんて、ほとんど無いよ…。
工事現場での危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント) 及び除去・低減対策の作成と実施について、具体的には以下の流れで行います。
- 労働災害・事故等を防止するために、受注した工事において予測される危険性又は有害性等を調査 (リスクアセスメント) し、これを除去又は低減するための対策を決定し、実施する。
- 工事着工時、各工種の工事施工中、当日の作業開始時に危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント) と対策を検討する。
- 工事着手時にリスクアセスメントを実施し、対策を決定する。
- 工事施工中にリスクアセスメントを実施し、対策を実施する。
- 当日の作業開始時にリスクアセスメントを実施し、対策を実施する。
- 除去低減対策の実施状況を点検する。
- 作業所安全衛生計画等及び施工要領書に反映する。
- リスクアセスメントの結果と対策の実施に関する記録を管理する。
②の「当日の作業開始時に危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント) と対策を検討する」ってあるけど、対策って例えばどんなこと?
危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント) と対策については、以下の事項から検討すると効果的です。
- 過去の同種工事における労働災害、事故等の事例
- 店社の標準作業手順及び危険性又は有害性等の標準モデル
- 受注した工事の内容に応じた危険性又は有害性等の調査結果(過去の同種工事における災害)
- 施工の進捗状況に応じた危険性又は有害性等の調査結果(災害防止協議会・安全工程打合せ等の開催時)
- 当日の作業における危険性又は有害性等の調査結果(作業開始前のKY活動)
リスクアセスメントについて、詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
労働安全衛生関係法令及び社内安全衛生規程・現場ルールなどの遵守
現場ルールとは、この現場では必ず○○してください等、他の現場ではやる必要が無いことを、この現場ではやってくださいといったものです。
例えばどんな現場ルールを作ればいいの?
僕が今までの現場で決めていた現場ルールを、参考に紹介するね。
当サイト運営者がこれまでに設定してきた現場ルールは以下の通りです。
- 現場付近は家屋連坦部となっているため、重機による騒音・振動の発生に配慮する → バックホウの場合、泥を落とす目的でバックホウバケットを小刻みに振るのを禁止
- 従来、工事箇所周辺に住む住民は工事に反対していた → 住民が現場を見に来たら必ずあいさつする、何か聞かれたら元請職員を呼ぶ
- 架空線・高架下での重機作業がある → 架空線・高架下での重機作業時は、見張り員無しでの作業を禁止
- 現場付近は幅員の狭い道路が多い → 指定した道路以外の工事用車両届の通行を禁止
- 大量の土砂を場外に搬出する → 過積載防止のため、0.7m3級バックホウでの積み込み回数は〇〇回まで
最低でも1工事に1項目は現場ルールを決めて、協力業者にもしつこいくらいに何度も周知するのが大切だよ。
何回もしつこく言わないとダメなの?面倒だなぁ…。
何度も言わないと自分の現場だけの現場ルールなんて、みんなすぐに忘れちゃうからね。
労働安全衛生関係法令及び社内安全衛生規程・現場ルールなどの遵守について、具体的には以下の項目がポイントになります。
- 作業所における労働災害・事故等を防止し、安全衛生水準の向上を図るため、工事に関連する労働安全衛生関係法令に定められた事項、社内安全 衛生規程及び現場ルール等を適切に遵守する。
- 工事に関係する条文等を特定し、施工計画書及び作業所安全衛生計画書に反映する。
- 特定した労働安全衛生関係法令及び社内安全衛生規程・現場ルール等を関係請負人等に周知する。
- 特定した法令等の事項の実施・運用状況を安全衛生パトロール等で点検し、管理する。
現場ルールについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
工事安全衛生目標の設定
工事安全衛生目標を設定するためのポイントは以下の通りです。
- 作業所の労働災害を防止し、安全衛生水準の向上を図るため作業所の工事安全衛生方針に基づき、安全衛生目標を設定する。
- 安全衛生目標を入念に検討して設定する。
- 工事安全衛生目標を決定し、関係請負人等に周知する。
- 工事安全衛生計画に反映させる。
②の安全衛生目標について検討する際は、以下の項目を参考にしてくださいね。
- 工事の工期、施工方法、工事工程、現場環境等の特性
- 店社の安全衛生方針及び作業所の工事安全衛生方針
- 店社の安全衛生目標
- リスクアセスメントの結果と除去・低減対策
工事安全衛生計画の立案・実施
工事安全衛生計画の立案・実施のポイントは、以下の通りです。
- 作業所における安全衛生活動を確実に推進し、工事安全衛生方針に基づく工事安全衛生目標の達成を図るために工事安全衛生計画を作成し、実施・運用する。
- 工事安全衛生計画の実施事項の達成状況について、日常的な点検を実施し問題点の改善を行う。
- 工事安全衛生計画を入念に検討して作成する。
- 工事の特性に応じた工事安全衛生計画を作成・決定し、工事安全衛生計画には工事安全衛生方針、工事安全衛生目標、工事工程表、災害防止重点目標、行事等を明確に記載する。
- 工事安全衛生計画を社員及び関係請負人にその内容、実施事項等を周知する。
- 工事安全衛生計画のうち、毎日の安全施工サイクル等の実施・運用を図る。
- 毎週及び毎月の安全施工サイクルを実施する。
- 関係請負人から提出された安全衛生計画の確認と承認を行う。
- 工事安全衛生計画に定められた実施事項の目標達成状況を日次、月次管理表により点検し、改善を行う。
- 災害防止協議会を開催し、月次工程について協議のうえ改善・対策を実行する。
- 店社幹部による現場安全衛生パトロールを実施し、工事安全衛生計画の実施運用状況を確認し、必要な指導を行う。
- 工事安全衛生計画の見直し、見直した事項の周知を行う。
③の工事安全衛生計画について検討する際は、以下の項目を参考にしてくださいね。
- 施工する工事の工期、施工方法、工事工程、施工環境等の特性
- 調査したリスクアセスメント及びその除去又は低減のために実施すべき対策
- 安全衛生に関する活動及び行事
- 店社の年度安全衛生計画
- 労働安全衛生関係法令、社内安全衛生規程等
工事用資機材の保守・管理の実施
工事用資機材の保守・管理の実施のポイントは、以下の通りです。
- 工事用資機材の安全で円滑な使用により、現場の労働災害を防止し、工事施工を効率的に行うため、社有機械・車両及びレンタル業者、請負業者が持ち込む資機材の取扱い方法、工事用資機材のリスクアセスメントの結果を現場担当者、関係請負人に周知し、適切に保守・管理する。
- 工事用資機材を購入する場合、レンタル業者及び請負業者からの持込み機械等については、立会いのうえ点検し、その資機材の特性、取扱い説明書等を確認し、許可を与える。
- 工事用資機材の危険性及び取扱い方法を関係請負人に周知する。
- 工事用資機材の使用状況を点検し、労働災害の発生が予測される場合には、改善方策を検討し、実行する。
- 改善方策は、工事安全衛生計画に反映させる。
まとめ
作業所で労働安全衛生マネジメントシステムを実施・運用するためには、店社(本社・支店等)で作成した、全社的な労働安全衛生マネジメントシステムと一体的に同マネジメントシステムを作成し、実施・運用する必要があります。
システム文書の多くは、店社において作成されますが、作業所では特に帳票類を作成する際に、受注した工事に対応したシステム文書や帳票類を独自に追加しながら作成する必要があります。
本記事では、作業所において作成すべき文書とマネジメントシステムの実施にあたって、重要となるポイントについて解説しました。
工事現場において、作成すべき文書とマネジメントシステムの実施にあたり重要となるポイントは以下の通りです。
- 工事安全衛生方針の表明
- 危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント) 及び除去・低減対策の作成と実施
- 労働安全衛生関係法令及び社内安全衛生規程・現場ルールなどの遵守
- 工事安全衛生目標の設定
- 工事安全衛生計画の立案・実施
- 工事用資機材の保守・管理の実施
難しい言葉も多いですが、1つの現場で経験してしまえば、それがベースとなります。
次の工事ではベースを基に、さらに良い労働安全衛生マネジメントシステムを実施・運用することができればバッチリです!
最初はわからなくて当たり前。それに、あまり安全面に業務が偏り過ぎると他の仕事が疎かになっちゃうから、完璧を求めずほどほどに、7~8割くらいの出来なら合格って気持ちでいると良いよ!
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