現場監督を辞めたくなる理由と対処法を施工管理16年のプロが解説

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現場監督

こんな生活してられない…辞めたい…。
監督の仕事って思っていたのと違った…。
残業、休日出勤も多くて遊ぶ時間が無い…。

施工管理という職業の拘束時間の長さ、精神的な重圧によって辞めたくなる・辞める方は非常に多いです。

もう嫌だ…辞めたい…辞めたい…と、徐々に不満が積もり、工事が完成すれば肩の荷が下りて、また次の工事も頑張ろう。

といった状態を繰り返す場合もあります。

好きで現場監督をやっているのであればいいですが、施工管理の労働環境ではなかなか難しいところで、長時間労働がつきもの。

本記事は、土木の現場監督を16年経験している筆者が、現場監督の現実(体力面・精神面での苦労)というテーマで、施工管理を好きになるポイントについて解説します。

目次

施工管理の仕事を好きになる3つのポイント。達成感・小さなモチベーション・たくさんのモチベーション

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施工管理の仕事を好きになる3つの方法は、以下の通りです。

施工管理の仕事を好きになる3つの方法
  • 『成功』よりも『達成感』を追い求める
  • 『熱意』よりも『小さなモチベーション』を追い求める
  • 『個性的』よりも『たくさんのモチベーション』を追い求める
現場監督

…どういうこと?

ランメイシ

順番に解説していきます!

ポイント①:『成功』よりも『達成感』を追い求める

施工管理の仕事を好きになるポイントの1つ目は、以下の通りです。

『成功』よりも『達成感』を追い求める

ほとんどの人が、好きではない仕事をやり続ける理由はシンプル。

「好きではない仕事が成功と繋がっているから」です。

そして、成功の定義は、多くの場合において安定でしょう。

『成功』=『安定』の例
  • 今の仕事は別に好きじゃないけど、自分にできる仕事はこれぐらいだし…。
  • 他に興味のある仕事はあるけれど、今の年収よりは下がっちゃうし…。
  • 転職して一時的に上手くいったとしても、10年後20年後は分からないし…。
現場監督

『今』の仕事を続けることが、成功(=人生の安定)になると考えているんだね…。

出世して、偉くなりたい・給料がたくさん欲しいという場合でも、発想の根幹は同じです。

今の会社で仕事を続ける方が、出世や年収アップのビジョンが見えやすいので、現状に不満を感じていても、今の会社で仕事を続けるという道を外れることはしません。

未来の『安定』や『出世』のために、現在の不満にはある程度目を瞑っている現状が、ほとんどですね。

しかし、未来の安定や出世のために今の不満を無視していると、不満が積み重なって「もう辞めたい」になってしまいます。

施工管理の仕事が楽だと言う現場監督は、絶対にいません。

ランメイシ

僕は、会社のために成果(=成功)を上げなければいけないと思っていました。

しかし過去にメンタルを病んでしまったことがあります。

うつ症状になって以来、以下の3つを意識し仕事をやっていくことで、格段に施工管理の仕事がやりやすくなったんです。

現場監督が意識しておきたいこと
  • 『全て』の仕事に全力で取り組んではいけない。手の抜きどころ・『妥協点』を見極める。
  • 『自分がやらないといけない』という考えは捨てて、人に『任せる』ことを覚える。
  • 自分の仕事に『誇り』を持つ。地図に残る素晴らしい仕事だから、大変で当然。
    自分は凄いプロジェクトの一員であることを忘れない。

多くの場合、日々の努力や我慢の積み重ねの先に成功があると信じられています。

ランメイシ

でも、今やりたいことを我慢して、未来の成功を求める考えには疑問を持ってください。

誰よりも多く働いて、睡眠時間を削ってまで仕事して、構造物の出来ばえも書類の内容も良かった。

当然、良い工事成績評定点がもらえるのかと思ったら、工事の難易度が高くなかったり、トラブルも特に無かったからという理由で平均点だった…

ランメイシ

1年近い工期の現場でこんな結果だったら、心が折れます。

工事成績評定点は、発注者が決めるもの。

あなたの意志では変えられないことに対して、過度に期待することは良くありません。

それよりも、あなた自身でできる目の前の『達成感』を得られることに集中して取り組みましょう!

結果的にやりがいに繋がります。

ポイント②:『熱意』よりも『小さなモチベーション』を追い求める

施工管理の仕事を好きになるポイントの2つ目は、以下の通りです。

『熱意』よりも『小さなモチベーション』を追い求める

ポイント①(成功よりも達成感を追い求める)で、目の前の達成感の大切さが分かったとしても、

達成感を得る方法がわからない場合もあるでしょう。

そんなときにカギとなるのが、小さなモチベーションです。

『熱意』より『小さなモチベーション』の理由

あなたは以下のような質問を受けたこと、ありませんか?

経験したことがある質問
  • 大きくなったら何になりたい?
  • 将来の夢はなに?
  • どこに進学(就職)したい?
  • この会社に入ったら、何をやりたいですか?

上記のような質問をされたときの答えとして、良いと言われるのは以下のような大きな話です。

質問の答えとして良いと言われる大きな話
  • プロ野球選手になりたい
  • 海外で仕事をしたい
  • 学者になってノーベル賞をとりたい
  • 優良建設技術者として表彰をとりたい

目標は大きく!とよく耳にするため、目標は大きいもので意識しがちです。

でも、現場監督を続けていくためには、大きな目標はあなた自身を苦しめることがあります。

ランメイシ

現場関東が本当に完璧を目指そうと思ったら、寝る時間が無くなります。

現場監督にとっての成功のカギは、小さなモチベーションにあります。

小さなモチベーションの事例

小さなモチベーションの成功例として、近藤麻理恵さんの整理整頓があります。

近藤麻理恵さんが2010年に出版した「人生がときめく片づけの魔法」は、世界40カ国以上で翻訳され、シリーズ累計1,300万部を超える世界的大ベストセラーになりました。

帯にも紹介されていますが、『世界で最も影響力のある100人』に選出。

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ランメイシ

近藤麻理恵さんの成功にも、『小さなモチベーション』が関係しています。

近藤麻理恵さんの成功の秘訣
  • 『片づけ』で世界を変えたいという『大きな情熱』ではなく、『整理整頓』をしたいという『小さなモチベーション』が、成功へとつながった

あなたにとっての『小さなモチベーション』は何か

『小さなモチベーション』こそが、結果として成功に繋がることが分かったところで、次はあなたにとっての『小さなモチベーション』は何でしょうか。

趣味などの好きなことだと、時間を忘れて没頭してしまうことがあるのに対し、

仕事だと「もうこんな時間か…早く帰りたい…」と思ってしまうのは、まだ小さなモチベーションが足りていないからです。

小さなことでも、何か小さなモチベーションを見つけることができれば、施工管理の仕事にも『楽しさ』が見えてきます。

ランメイシ

僕の現場監督としての小さなモチベーションを参考にしてください。

現場監督の小さなモチベーション
  • 丁張のための『木杭』を、傾くことなくきれいに打ち込みたい。
  • 安全パトロールで是正指摘を先月よりも減らしたい。
  • 天気のいい日に現場にいると、気持ちいい。
  • 着工前・完成を写真で見比べるのが楽しい。
  • 一服の時間にみんなで缶コーヒーを飲みながら話すのが楽しい。

一般的な言葉に惑わされず、あなたの好みや興味を大事にする

会社や世間が、人に大きな言葉を求めるのは、その方が人として信頼できると感じ、組織として人を管理するのが楽だからです。

以下のようなキーワードは説得力を感じます。

説得力を感じるキーワード
  • 地域貢献
  • 創意工夫
  • 生産性向上
  • やりがい
  • チャレンジ精神
  • 改革
  • 決意

しかし、あなたの原動力になるキーワードは、もっと『個人的』なものです。

人はそれぞれ個性があるので、人それぞれ好みは違います。

みんなと分かり合える『一般的なキーワード』をモチベーションにするのではなく、あなたにとって『ピンポイント』な興味や好みを大事にしてください。

現場監督

たとえば、『食べることが好き』でもいいのかな?

ランメイシ

『食べることが好き』では、ピンポイントさが足りないですね…。

世の中には、パッと土砂の山を見ただけでボリュームがわかる人もいます。

スラントを使わなくても、見ただけで法勾配がわかる人もいます。

これは、ピンポイントにその『分野』に興味・関心があって追い求めていった結果であり、他の人からすれば変態にすら見えるかもしれません。

興味が無い、好みじゃないことには、その分野で上達することはできません。

『小さなモチベーション』こそが、あなたの本当の原動力になります。

人に話すと「そんなことかよ」と言われそうな『小さなモチベーション』もあるでしょう。

しかし、『小さなモチベーション』はわざわざ人に説明する必要はありません。

ポイント③:『個性的』よりも『たくさんのモチベーション』を追い求める

施工管理の仕事を好きになるポイントの3つ目は、「『個性的』よりも『たくさんのモチベーション』を追い求める」です。

よくある思い込みとして、どんなことが好きなのか。

自身にとってのモチベーションは何かという話になると、多くの場合『好きなことは1つだけ』という思い込みをしています。

よくある『思い込み』

『1番』を目指さないといけない

『1つ』のことに集中するべきだ!

『1つのこと』に集中するよりも、『たくさん』のやりたいことがあった方が、楽しく仕事ができるでしょう。

『小さなモチベーション』を『たくさん』持つことの方が、メリットが多いです。

小さなモチベーションをたくさん持つメリット
  • 掛け算効果で強みを発揮できる
  • 多動力によってチャンスをつかみやすい
  • 支えとなる柱が増えて安定感が増す

『小さなモチベーション』は、あなたが1番じゃなくても大丈夫ですし、他の誰かに負けていても構いません。

あなただけの『小さなモチベーション』をたくさん見つけることができたら、次はその中のいくつかを仕事と結び付けていってください。

施工管理で小さなモチベーションが見つからない時の4つの行動プラン

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前述の『3つのポイント』を知ってもなお、以下のように思う場合。

どうやっても、施工管理の仕事を好きになることができない!

小さなモチベーションを見出だすことができない!

あなたが上記のように感じている場合、それは方向転換の合図です。

ランメイシ

1年の我慢は、寿命を1年縮めているのと同じ。あなたが進んでいる道を見直してみるタイミングです。

そこで、方向転換のための具体的な行動プランを4つ紹介します。

4つの行動プラン
  1. 異動願いを出す
  2. 副業を始める
  3. 転職する
  4. 資格を取ったり、スキルを学ぶ

①~③は『小さなモチベーション』を発揮できる場所に移動するプランで、4は『新しい小さなモチベーション』を見つけに行く行動プランです。

プラン①:異動願いを出す

今いる会社の中でも、部署が変われば職種が変わります。

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土木部から建築部や重機のオペレーターになる工事部、または営業部に行くって感じだね。

担当する業務が変われば、発揮できるモチベーションの種類も変わります。

異動願いがなかなか通らない会社に勤めている場合でも、まずははっきりと意思表示をしてみましょう。

黙っていても、他人が皆あなたの小さなモチベーションに気付くことはありません。

プラン②:副業を始める

施工管理の仕事は忙しいのに副業なんて…と感じるかもしれません。

現場監督

現場監督はどうしても拘束時間が長いのに、副業までやってたら寝る時間も無くなっちゃうよ!

ランメイシ

もちろん副業にはデメリットもあるけれど、メリットもたくさんありますよ。

簡単に稼げるわけではありませんが、副業をおすすめするのには理由があります。

副業をおすすめする理由
  • 本業である施工管理の仕事は継続するのでリスクが少ない
  • 副業は小さなモチベーションを感じられることを軸に選べる
  • 副業で得たスキルを施工管理である本業に活かせる
  • 副業が上手くいけば、本業にできる可能性がある

副業で人生が変わった人も多くいます。

副業の選び方のポイントは、『何が稼げるか』よりも『何が小さなモチベーションに響くか』で選ぶことです。

プラン③:転職する

以下に該当する場合は、転職を視野に入れてみましょう。

転職を視野に入れるケース
  • 異動願いが通らない、異動したい部署も無い
  • 今の会社に尊敬できる人、手本になる人がいない
  • 副業の中に、小さなモチベーションに響くものが無い

転職はある意味『究極の後出しジャンケン』です。転職するかどうかは、内定をもらった後、条件を確認してから決めれば良いからです。

転職する・しないの決め方としては以下を参考にしてください。

キャリアダウンになるなら、転職は一旦保留にして他の道を探す

例えば、以下のような状況

  • 今より給料が下がる
  • 希望する職種に就けない

『小さなモチベーション』を見つけられるなら、転職を決断する

例えば、以下のような状況

  • 今より給料が上がる
  • 希望の職種に就ける

転職にはリスクがありますが、転職活動そのものはノーリスクです。

転職活動をやってからはじめて、あなたの『小さなモチベーション』が何なのか気付く場合もあります。

施工管理の仕事で体験した痛い目・苦労した出来事

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僕が施工管理15年のキャリアのなかで体験した『痛い目』、『苦労した出来事』を紹介します。

現場監督という職業で定時で帰宅することができることは、ほぼありませんよね。

工事が竣工し発注者さんに引き渡した直後や、自分の担当する工事が稼働していない等であれば正規の就業時間通りで仕事を済ますこともできますが、定時で帰宅することができるのは年間通じて数日あるくらいではないでしょうか?

現場監督は残業が多い

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現場監督は職人さんと違って肉体労働は少ないですが、それでも仕事はたくさんあります。

施工管理の仕事をよく知らずに現場監督になってから、あまりの仕事量に

「こんなはずじゃなかった…」

と後悔した人もいるのではないでしょうか。

現場監督の仕事について、下記に書き出してみました。

現場での仕事

  • 夜間に現場内で異常が起きていなかったか、一回りして確認
  • コロナウイルス対策のため、現場入場者の体温確認
  • 朝礼、危険予知活動の確認
  • 有資格作業者の資格証確認
  • 危険箇所・不安全行動・仮設物に異常がないか巡視点検
  • 丁張設置
  • 施工状況の写真撮影
  • 出来形の測定・写真撮影
  • 現場納入材料の品質確認
  • 発注者さんとの打合せ・工程会議
  • 発注者さんの現場臨場確認の対応・説明
  • 発注者さんの書類作成状況確認・説明
  • 安全パトロールの対応・説明
  • 現場内や出入口の清掃・ゴミ拾い
  • 職人さんの手元(人手が足りなくてやむをえない時)
  • 作業終了後の現場点検
  • 職人さんが帰った後のバリケード等、戸締り

現場事務所での仕事

  • 資材やリース品の伝票の整理
  • 現場納入した材料の受入検査結果の整理
  • 翌日以降の搬入資材の確認
  • 工事日報の実績記入
  • 協力業者の危険予知等、安全書類の整理
  • 重機の点検簿整理、元請確認(押印)
  • 足場等仮設物の点検簿整理、元請確認(押印)
  • 翌日の作業内容・作業手順の確認
  • 施工状況や出来形測定等の写真整理
  • 出来形管理写真の実測値との整合確認
  • 出来形管理・品質管理の管理図作成
  • 発注者さんとの打合せ資料作成
  • 打合せ議事録の作成
  • 工程表の作成
  • 進捗率・出来高金額の算出
  • 社内会議資料の作成

全てが毎日やる作業ではないですが、実際に書き出してみるとこれだけの仕事量があります。

日中、現場巡視や協力業者作業確認、出来形・品質管理関係作業を終えて現場事務所に戻って上記の作業をやることができればいいですが、現場は限られた人数でこなしているので難しいですよね。

それに、夏は暑く、冬は寒い。

過酷な環境の中で仕事をしたら夕方にはもうクタクタです。

ある程度メリハリをつけてやらないと週末になると体が悲鳴を上げるくらいなんですよね。

現場のすぐ近くに製造業の工場があり、17時過ぎに現場を出て現場事務所に戻る途中、その工場の横を通っていたのですが、工場で働く人が一斉に帰って行くのを見て

「僕はこれから書類仕事たくさんあるのにこんな時間に帰れて羨ましいな…」

なんて思ったこともあります。

現場監督は朝早い

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朝は朝礼の前にKYを書いたりする時間が要るので、それで朝礼の30分くらい前には現場に集合。

と業界では普通ですが、現場監督はとにかく朝早くないと許さん!

みたいな上司は身近にいないでしょうか?

僕は現場監督として新入社員の頃、同じ現場にそんな上司がいたのです。

現場は車で1時間ほどかかる結構遠い現場だったので元々朝は早めに家を出ないといけなかったのですが、その上司は

「7時には現場事務所に到着していろ」

と言うのです。

仕事もろくにできない新入社員だったのでNoと言うこともできず、毎日6時には出社していました。

何でこんなに早く現場に来ないといけないんだろうと思っていましたが、上司も7時に現場に来ていたので何も言えませんでした…。

上記のような上司がいなくても、現場監督という立場上、基本的に現場には早めに居るようにしておかなければいけません。

いつも朝礼の直前に出勤いていたりするようだと、協力(下請)業者さんからも

「監督いつも遅いな、ちゃんと現場みてるの?」

「作業前に少し打合せしたいんだけどまだ来てないの?」

と、徐々に信頼を失いかねません。

休日出勤が当たり前

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最近は建設業も働き方改革によって週休2日を見込んだ予算で工事が発注される他、i-constructionによる生産性の向上によって建設業の労働環境は良くなりつつはあります。

しかし、それは表向きだけで本当に現場監督をやりたいと思われるほどの環境にはまだまだ先といった面も実際にはあります。

工事書類においては何年も前から簡素化と言われていますが作成する量は全然減ってはいませんしむしろ、1度どこかで不備があると再発防止のためという名目で書類を余計に作成させられるくらいですね。

書類作成の手を止めてしっかり休日を確保したとしても後々やらなければいけないことに変わりはないので結果、出勤せざるをえないという状況になる始末です。

公共工事であれば引き渡し後、評定点が出るので会社からも他社より良い点をとれとプレッシャーをかけられますし、良い点を貰うには現場の出来栄え以外に内容の充実した書類作成も必要です。

だから、残業・休日出勤してでも時間をかけないといけないんですよね。

精神面で苦労すること

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現場監督という職業は立場上、常に「責任」が付きまといます。

これは工事において現場代理人や監理技術者という役職がついている人が主で、いち担当職員として従事する若手監督時代には無かったものです。

僕自身、2級土木施工管理技士の資格を取ってすぐに国交省発注工事の現場代理人として工事を担当することになりましたが、自分が現場代理人とわかった瞬間、不安や緊張でいっぱいでした。

この何年か前に、先輩から言われたことが頭に残っていたのです。

「現場監督って、給料のわりに責任重いよな。現場で事故起きたら全部俺の責任や。」

「昔は忙しくても仕事楽しいと思ってたんやけどな。」

こう言っていたのは、過去に国交省から表彰も受賞した経験のある優秀な先輩です。

工事現場では常に安全第一を掲げて日々、現場で頑張っています。

当然ですが事故を起こしたい、怪我をしたいなんて人はいません。

労働災害撲滅のため安全管理を徹底していたとしても、事故発生の確立を0に限りなく近づけることはできるものの、0にはできていません。

厚生労働省の労働基準局発表資料によると、令和2年の建設業の労働災害のうち死傷者数は14,977人、死亡者数は258人でした。

死傷者数は年々、減少傾向にありますが、死亡者数においては全産業のうち建設業がトップです。

ちなみに令和2年は転倒・無理な動作・動作の反動による労働災害が増加し、死傷者数は平成14年以降で最多となりました。

私も自分が現場代理人として従事した工事でも事故を起こしてしまった経験があります。

思い返してみれば、自分がしっかり見ていれば、あんなことにはならなかったのに…

と後悔もありますが、事前に防ぐことができず自分の詰めが甘かった結果かなと、教訓としていくしかありませんでした。

万が一、現場で労働災害が発生してしまった後

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万が一、現場で労働災害が発生してしまった場合、責任は元請にあり、つまり現場監督にあります。

現場監督をやっていて、事故を経験したことのある方なら、その後がいかに大変かご存知かと思います。

1度事故を起こしてしまうと現場はストップして、工事再開のため何日も徹夜で事故報告書の作成をしなければいけない。

事故報告書の内容も発注者さんに認めてもらえなかったり、資料の追加を要請されることもあり…。

会社で事故発生の状況説明、再発防止の緊急ミーティングの際には部署全員の前で怒鳴られ、まるで公開処刑…。

方々から誹謗中傷の嵐で、味方になってくれる人なんていません…。

この頃の私は精神的にかなり参っていて、この現場が終わったら現場監督を辞めてやると決めていました。

いつか鬱になって、僕は社会人として終わってしまうのではないかと非常に不安でした。

仕事に対してのやりがいとか、本当にどうでもいいと思っていました。

建設業はほぼ体育会系、パワハラ・言葉遣いの悪い上司や職人さんがいるのが普通

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性格がおおらかで優しい人、寡黙でまじめな人、せっかちな人、短気な人。

おおよそ職種によって、どんな人が多いかはご存知かと思いますが、建設業は、大半の人が体育会系で、気合いだ根性だという人が多いのではないでしょうか。

夜遅くまで残業していて、先輩や上司に

「気合で乗り切れ!」

「根性出せ!」

などと言われた経験はないでしょうか?

実際、私は上司に罵声を浴びせられたは何度もあります。

発注者さんの前ではペコペコしているのに、社員には自分の求めるレベルの仕事ができていないと怒鳴りつけ、机を叩きまくる…。

こんな上司がいたら、嫌でも顔色をうかがって仕事せざるを得ないですよね。

もちろん会社の人だけではありません。

現場では、土工・型枠大工・鉄筋工・ダンプ運転手など、さまざまな職種の業者がいますが、当然のごとく体育会系が多いですよね。

見た目ヤ〇ザなんじゃないかというような型枠大工の職長さんとも仕事をしたことがあります。(絶対ではないですが、意外とこういう人の方が仕事は丁寧だったりします)

その現場によって程度の違いはあるものの、若い現場監督さんは会社の上司や職人さんに怒鳴られるのが普通なんですよね。

一応、こういう古い考え方の人は徐々に減っていますが、目に見えて減ったと判明するには、世代交代がもっと進んだ後だと私は思います。

まとめ

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  • 現場監督は基本的に長時間労働
  • 朝も早く出勤しなければいけない
  • 休日出勤が当たり前のようにある

今回は、「現場監督の体力面・精神面で苦労すること」のテーマについて紹介しました。

若手監督の方には現場監督ってこんな感じなんだと参考になればと思います。

「地図に残る仕事が好きだ。」

「現場監督の仕事が好きでこれからも頑張っていきたい!」

という方は、いつも大変なことばかりではないということを忘れず、将来的に会社から必要とされる人間、協力業者さんから

「〇〇(あなた)さんとまた一緒に仕事したいです。」

と言われるような現場監督目指して頑張っていただきたいです。

昔はどんなに嫌でも3年は続けろとよく言われたものですが、今はそんなことはありません。

現場監督という職業に自分の良い未来を見いだせない、と不安に思ったら異業種などに転職することも考えるべきです。

現場監督から転職して生活が豊かになった、ゆとりができたという人もいます。

我慢して仕事を続けるあまり、うつ病になってしまい、気力が湧かず何もやる気が起きない。

現場監督は激務で有名ですが、メンタルを病んで結果的に失職することは珍しくありません。

日々のストレスが積み重なり、突然心が壊れ、続いて体が壊れていきます。

これは絶対に防がなければいけません。

健康を1度害していまうと、復帰までに大きな時間とお金が必要です。

こちらで激務な施工管理や上司のパワハラなどで仕事に行きたくない時の対処法について解説していますので、よければ参考にしてみてください。

仕事のために生きるのではなく、生きるために仕事をすることを忘れないでくださいね。

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